農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 飛鳥馬 翼, 畑本 浩伸, 北原 成郎
    2023 年91 巻12 号 p. 899-902,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    建設業界では他産業と比較して高齢化率が高く,建設機械オペレータをはじめとする建設業の担い手不足が深刻化している。さらに,令和6年度から建設業の時間外労働の上限規制が適用開始されるため,生産性向上や働き方改革を実現することが喫緊の課題である。筆者らは生産性向上を目的とし,自動走行式不整地運搬車を運行管理するAI制御システムを継続して研究している。本報では,開発したAI運行管理システムの有効性をシミュレーションにて評価した。1~5台の不整地運搬車をシミュレーションで動作させ,安全性・作業効率・歩掛りを確認した。

  • 山室 成樹
    2023 年91 巻12 号 p. 903-905,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    老朽化した農業用パイプラインにおける事故が報告されているが,ストックマネジメントを進めるに当たって,まず,管路の状況を調査・診断する必要がある。小口径管路に対して,従来は管内テレビカメラ装置による外観調査が主な方法であったが,新たに管内から直接計測して管の状態を評価する方法として,管内径測定装置と内面載荷診断システムを開発した。前者は,管の内径を鉛直と水平の2方向で測定し,結果より管のたわみ度を正確に求める。後者は,管内から鉛直方向に直接載荷し,荷重による管の水平変形量を求めることで管の剛性値を測定する。測定した剛性値を機能診断評価図にプロットし,管の状態を評価するシステムである。

  • 成瀬 龍一郎
    2023 年91 巻12 号 p. 907-910,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    用排水路などの従来工法による函渠埋設工事における施工上の問題点を解決するために,開削型自走推進機(OSJ機)を用いた函渠埋設工法(OSJ工法)が開発された。しかし,OSJ工法は前・後方および掘削底面が開放されていることから止水性が劣り,高地下水位・高透水性地盤においては止水・排水のための補助工法の併用を余儀なくされ,補助工法による問題点が指摘されていた。そこで,OSJ機本体に集水・排水装置を装備することにより,機内への地下水の流入を抑えることで,補助工法の併用を必要としない「地下水対応開削型自走推進工法(OSJ-CONG工法)」を開発し,実工事に適用した。本報ではその概要と実証試験の結果,適用実績等について報告する。

  • 多田 林平
    2023 年91 巻12 号 p. 911-914,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    農業用水路(コンクリートフリューム)の維持管理には,躯体の耐久性の確保,伸縮目地の補修などに加えて,外水圧を低減させる地下水位低下機能の維持が重要である。躯体や伸縮目地の補修・補強工法についてはさまざまな工法が開発されているが,地下水位低下機能の維持・更新に特化した工法は少ない。老朽化した水路のウィープホールやアンダードレーンは維持管理が困難なことから,バルブの故障や目詰まりにより機能低下しているものが多く,水路が浮上して破損する事故が散見される。そこで,既設用水路に追加施工が可能で,維持管理も容易なウィープホールを開発したので紹介する。

  • 高山 真揮, 西村 剛, 天野 吉昌, 安井 健一
    2023 年91 巻12 号 p. 915-916,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    本報で報告する排水機場工事で計画されている基礎杭は,杭長が最大55mの長尺のPHC杭であり,継手が4カ所配置されていた。そのため,杭の接続作業に時間を要することや,軟弱粘性地盤が厚く堆積する地盤条件により,時間経過とともに杭孔の内側に地盤が変位するはらみ出しが想定され,杭の高止まりが懸念された。本報では,従来の溶接継手から機械式継手を採用した場合の作業時間の比較,2次元FEM解析によりシミュレーションした孔壁の変形量,および試験杭の施工結果より,機械式継手を採用した事例について紹介する。

  • 清水 悠司
    2023 年91 巻12 号 p. 917-918,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    平成30年7月豪雨を踏まえ,防災重点ため池の見直しが行われた。ため池の防災・減災対策に当たっては,堤体の補修等のハード対策が進められているところである。そのハード対策のうち,堤体法面を侵食から守り,かつ防草・防災のニーズを満たす経済的な工法として,ブロックマット防草・防災型の採用事例が増えてきている。本報では,ブロックマット防草・防災型の紹介と,その採用事例を2つ紹介する。

  • 濵田 康治, 中野 恵子, 高橋 仁康, 大段 秀記, 渡邊 修一, 永友 功一
    2023 年91 巻12 号 p. 919-922,a2
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    乾田直播栽培は代かき・田植えを実施しないため代かき濁水が発生せず,乾田直播栽培に適した漏水対策を実施することで水質汚濁物質の負荷削減効果が期待される。乾田直播栽培と慣行移植栽培による水田からの用水負荷と地表排水負荷をそれぞれ比較した結果,乾田直播水田は,濁水排出抑制には大きな効果が得られるとともに,全窒素・全リンについても代かき濁水の発生抑制対策を実施した移植水田と同等またはそれ以上の地表排水負荷の抑制効果が得られた。乾田直播栽培は省力的な営農法であるため,労働力不足を補いながら実行可能な有効な水質負荷削減対策として期待される。

  • 鈴木 純, 甲斐 貴光
    2023 年91 巻12 号 p. 923-927,a2
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    長野県長野市長沼地区の千曲川左岸堤防の決壊に伴う氾濫の後に,地域一帯に泥土が堆積した。この泥土は,微細で透水性が非常に低い性質を有していた。約5cmの泥土が堆積したリンゴ畑の土壌水分ポテンシャルは,氾濫発生から約2週間後の10月29日に,樹幹から水平距離1.0mの深さ0.2mは-9.5kPa,深さ0.5mは-7.0kPaと,圃場容水量に相当する-6.3kPaを下回った。このように根圏土層が圃場容水量以下に減少したことは,泥土の脱水に伴い発生した亀裂を通じて大気が根圏土層に供給されたためと考えられた。またリンゴによる土壌水分の吸上げは,大気が土壌水分に置き換わることを促進したと考えられた。

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