農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
 
  • 近森 秀高, 工藤 亮治, 永井 明博
    2011 年 79 巻 12 号 p. 909-912,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    わが国における近年の地域確率日降水量の経年変化を検討し,地域差はあるものの,地域確率日降水量は全国的に増加傾向にあることを示した。また,地域気候モデル(MRI-RCM20)によって推定された100年後の月平均日降水量に基づき複合ポアソンモデルを用いて日降水量時系列を模擬発生させ,これを対象とした極値解析により,札幌,敦賀,岡山,鹿児島の4地点における確率日降水量が将来増加することを示した。今後の降水の将来予測に関わる問題として,地球温暖化への適応策推進のために時空間的に高解像度の将来予測が公開される必要性と,農業農村工学分野に必要な降水の将来予測の明確化,気候モデルによる予測の信頼性評価の重要性について指摘した。

  • 室本 隆司, 桑原 耕一
    2011 年 79 巻 12 号 p. 913-916,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    気候変動に伴い大きな影響を受けると予想されるわが国の農業用水,土地改良施設への影響について,地域気候モデル(RCM20)を用いて,約100年後の影響評価を行い,適応策を検討した。粗用水量については,東日本および南九州において増加が見込まれるとともに,積雪地域および春先に小雨が予想される地域では,ダム確保容量の不足が予想された。また,農業用ダムの洪水対応機能への影響は,限定的と推定されたが,排水機場については,ソフト対策とハード対策を組み合わせなければ,湛水被害を軽減できないと予測された。海岸堤防については,海面上昇により,越波による後背農地の湛水および塩害が発生すると想定された。本報では,これらの検討結果について報告する。

  • 内藤 久仁彦
    2011 年 79 巻 12 号 p. 917-920,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    わが国は,気候変動対策に取り組む開発途上国や気候変動の悪影響に脆弱な開発途上国への支援に積極的に取り組むこととしている。農業農村開発協力の分野においても,気候変動対策に積極的に取り組むことが必要であり,農林水産省は適応策,緩和策の双方について効果的・持続的な協力を実施するための技術・手法の開発を行っている。本報では,農業農村開発協力における気候変動対策のための技術・手法開発への取組みの現状と今後の方針について概説する。

  • 増本 隆夫, 石田 聡
    2011 年 79 巻 12 号 p. 921-924,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    IPCCの気候変動の影響予測の中では,水資源分野は両極端現象(洪水と渇水)としての水災害と同様に重要な位置を占めている。一方で,世界の農業用水は全水利用の中で7割を占めるにもかかわらず,農業用水資源に対する温暖化の影響予測はあまり検討されていない。また,農業への温暖化影響予測では,主に気温上昇に対する作物・動植物別の影響評価は実施されているが,水資源や土地資源との関わりの中での検討は行われていない。そこで,ここでは農林水産省所管の独立行政法人研究機関が実施している研究課題の中で,農村工学研究所が担当する水資源や土地資源に対する気候変動の影響やそれへの対応策に関する研究の取組みの概要と今後の課題について報告する。

  • 松岡 彰博, 進藤 金日子
    2011 年 79 巻 12 号 p. 925-928,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    再生可能エネルギーの導入は,従来,地球温暖化の大きな要因である温室効果ガスの排出量削減の有効な手段として注目されていた。しかし,最近,わが国のエネルギー政策が議論される中で,供給サイドの新たな柱として「再生可能エネルギー」の注目度が大きくなってきている。再生可能エネルギー導入の意義と必要性を整理した上で,農村地域に賦存する再生可能エネルギーのポテンシャル量の試算例を紹介し,これらと二酸化炭素排出削減量との関係を考察する。そして,現時点の知見をもとにして再生可能エネルギー導入に当たっての諸課題を整理する。

  • 平岩 竜彦, 松田 光平, 川久保 素尚, 松山 茂生
    2011 年 79 巻 12 号 p. 929-933,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    地球温暖化が加速度的に進行する中で,気候変動に伴う降雨強度の増加などが農地に深刻な影響を及ぼすと予測されている。RCM20に基づき,将来の確率雨量を30地区で予測した結果,大半の地区で増加傾向,一部の地区で減少傾向となった。排水不良,土壌侵食,乾燥化に対する1/10年確率雨量等の変化が及ぼす影響を調べるため,モデル地区を設定し検討した。その結果,排水路のピーク時の水位上昇,土壌侵食量の増加,一部の地区で純用水量の増加が予測された。また,気候変動下の排水流量の増加傾向から,耐用年数以外の要因による排水路の更新時期を検討する必要性が示された。気候変動に対する適応策の基本方針は,影響に配慮しつつ維持管理や補修などによる施設の有効利用を行い,更新時はその時点の気象条件に基づいて施設諸元を再検討することが必要である。

  • 渡部 恵司, 竹村 武士, 森 淳, 小出水 規行, 松森 堅治, 齊藤 岳
    2011 年 79 巻 12 号 p. 935-940,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    田んぼの生きもの調査のデータを解析し,利根川流域において,約1kmメッシュ単位での確認魚種と,生息環境との関連を解析した。生息環境のデータには,国土数値情報や第4次土地利用基盤整備基本調査などから得た土地利用,農地の整備状況および標高データを用いた。魚種それぞれの出現傾向の類似性から,多次元尺度法とツインスパン法を用いて同じメッシュで確認されやすい魚種をまとめ,4グループに分類した。生息環境を説明因子として,メッシュでの各グループの確認されやすさを計算するモデル式を作成した。そのモデル式の外挿により,未調査のメッシュも含めた利根川流域での各グループの確認されやすさを地図に表した。

  • 齋藤 晴美, 梶原 義範, 荻野 憲一, 倉田 進
    2011 年 79 巻 12 号 p. 941-944,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    国営事業などで造成された基幹的農業水利施設の資産価値は再建設費で,17.9兆円,そのうち,国営造成施設は7.7兆円の社会資本が形成されてきた。国営事業を実施してきた農業地域が,①米・大豆・麦の主要産地となっており,認定農業者の割合も高く,大規模優良農業地域を形成していること,②都道府県別の基幹的農業水利施設のストック量と供給熱量の間には相関があり,農業水利施設への資本投下が,食料自給率向上に寄与するとともに,国民に安全で安心な食料安定供給を確保していること,③農業水利施設の老朽化や地域の営農状況は,地域によってさまざまな特徴があることを報告する。さらに,農業水利施設の社会資本の整備状況や老朽化の状況を定量的に把握し,全国的な傾向について考察する。

  • 西野 徳康, 鶴田 晋也, 高石 洋行, 渡部 大輔
    2011 年 79 巻 12 号 p. 945-950,a3
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    これまで,農業用ダムの機能診断については,目視を中心に堤体などの変状を把握・評価する「長期供用ダム機能診断マニュアル」を利用してきたところであるが,ダムの安定性や機能の評価を行う際,堤体の間隙水圧などの計測データは,評価手法や安定性を評価する指標が確立されていなかったため,特定の技術者の知識や経験に依存し評価する状況にあった。近年,ダムの計測データの蓄積が進み,情報処理技術が発達したことに伴って,計測データを多様な方法で解析することが可能となってきたことから,これまで蓄積された計測データを用いて,ダム堤体内部の変状や劣化の予測が可能となる手法を検討し,「農業用ダム機能診断マニュアル」を作成した。本報では,計測データの整理・分析の方法,安全性評価のための指標の考え方,試行事例について報告する。

feedback
Top