1993 年 61 巻 4 号 p. 331-335,a1
全国の畑地帯において地下水の硝酸性窒素濃度の上昇が指摘され, 生活用水源への懸念が社会問題化している。宮古島では, 水道水源である湧水の硝酸性窒素濃度が1970年代から1980年代後半にかけて上昇し, その後低下している。この濃度変化は農地への施肥総量を反映したものであると考えられる。この施肥量は時の農業情勢を映して増減しているようである。
地下水の水質保全は, 汚濁源対策に尽きるが, 住民の理解と協力が不可欠であり, 地域社会の将来構想も踏まえた上で検討されるべきものである。とくに施肥の制御については, 必要な農業生産を維持しながら水質に過剰な負荷を与えないような, 均衡点を見いだす必要がある。