本報は乾燥地域の潅漑システム管理と環境改善に関する研究 (代表筒井暉近畿大学教授) の一環として行われた中間報告である。中国新彊ウイグル自治区のウルムチ市を流れるウルムチ川とカザフ共和国アルマータ市の北部を流れるイリ川の潅漑水利開発と潅漑用水管理の実態を調査し, 比較検討を行った。イリ川流域の農業はウルムチ川流域の農業に対して, 2.5倍の用水を平均して使用している。その結果, イリ川流域は塩類化・湛水化の問題がほぼ全域に生じているが, ウルムチ川ではほとんどない。ウルムチ川流域では農地の均平化, 用排水路の整備すなわち農地の基盤整備が進められている。農地の基盤整備に重要なポイントがあると考えている。