抄録
最初に, 空中写真を用いて砂州の移動状況を示した。そして, 河口上流側の各横断面における導流堤施工前後の特徴を示した。現在, 砂州は河口から約800m上流の河道湾曲部にほぼ安定している。
次に, 子吉川の導流堤は移動限界水深程度の深さまで施工されており, また導流堤の平面形状からみて卓越波向, 漂砂等を考慮して設計施工されたものと推察された。河口部付近の地形と沿岸沿いの海浜地形を調べたところ, 左右岸の導流堤完成後は顕著な地形変化はみられなかった。河道内に第1種漁港があり船舶が行き来するが, 土砂凌深の必要性もほとんどなく航路が確保され, 導流堤施工が機能している好例であることを示した。