2019 年 94 巻 6 号 p. 354-361
海産底生珪藻で管棲群体を形成するBerkeleya micans (Lyngbye) Grunowの群体と殻微細構造を光学および電子顕微鏡を用いて観察し,新たに以下の形態学的特徴を明らかにするとともに近縁種B. fragilis GrevilleとB. hyalina (Round & Brooks) Coxとの形態学的相違を明確にした.群体は付着基部から一定の太さに分枝したチューブが放射状に広がる形状で,チューブ内には細胞が平行に密に配列する.条線は1列に並ぶ細長い長方形の胞紋により構成され,軸域に接する胞紋は他の約2–3倍の大きさで浅い溝の中にある.半殻帯は6枚の帯片から構成される.すべて片端開放型で帯片内接部に鋸歯状突起はない.微細構造の差(厚さ,長さ,幅,胞紋列と溝の有無)により,3タイプに区別された.さらにB. micansの殻形成初期段階の殻微細構造を初めて明らかにした.