農業土木学会誌
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日本の農政改革の世界史的位置
祖田 修
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2000 年 68 巻 1 号 p. 5-10,a1

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抄録

日本農業にはいくっかの重要な周辺状況がある。まず第1に, 人口爆発で, 世界人口が50年後には90億人と見込まれる。また工業化・所得増に伴う肉食増は, 膨大な飼料穀物生産が必要となる。第2に, 市場原理の強化ないし規制緩和の方向が強いが, 農業は市場原理になじまない面がある。とくに (1) 日本は世界の条件不利国である,(2) 地球環境・地域環境保全にとって, 過度の食料他国依存は疑問,(3) 農業は多元的価値産業, 農村は多機能空間, などの3点から, 輸入国でも一定の農業の保全政策が必要である。また日本経済はその繁栄期の山を越え, 他のアジア諸国はじめ途上国が台頭しっっある。こうした中で, 日本は新たな産業間バランスのとれた安定期に入ることになろうし, またその必要がある。

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© 社団法人 農業農村工学会
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