完新世における海水準変動の中で, 北部ベトナムの紅河デルタは陸域から海域に変化し, 現在の河成海岸平野の微地形の枠組みが形成されていった。この地域はモンスーン変動を受け, 台風による大雨の発生のため, 低平なデルタは微地形に対応して洪水氾濫の被害が繰り返されてきた。気候変動は農村の生活空間および農業生産を大きく左右するものであり, 早い時期から洪水防御の堤防建設が行われ, 20世紀初頭の洪水後には洪水調整池をはじめ流域管理計画が出されたが, まだ完全とは言えない。農地防災のたあの土地評価は急務の課題といえる。