農業土木学会誌
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三宅島の新規火山灰土壌の物理性と今後の農業復興
藤川 智紀望月 秀俊宮崎 毅
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2003 年 71 巻 6 号 p. 479-482,a1

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抄録

2000年6月に始まった三宅島噴火の結果生じた火山灰降灰や土石流の堆積は, 三宅島全土を新しい土壌で覆った。三宅島の農業復興のためには, 農耕地を覆うこれらの土壌の取扱いが重要な課題となる。2002年2月に現地入りし, 新規火山灰土壌を採取し, その物理性を測定し, 農業復興に向けた処理法を検討した。測定の結果, 堆積型によって堆積物の物理性は大きく異なるため, その処理方法も異なることが明らかになった。たとえば, 坪田地区のスコリア型堆積物は, 乾燥密度, 透水性ともにもともとの土壌に近く, 下層土と混合することによって機能の復帰が期待できるのに対し, 御子敷地区の泥水型堆積物は, 透水性が低く, このままでは湿害や土壌侵食の可能性が懸念され, 有機物の混入などの早期対策が必要であることが分かった。

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© 社団法人 農業農村工学会
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