農業土木学会誌
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整備済み水田用排水路系における水生生物の選択的保全対策
松井 明佐藤 政良
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2005 年 73 巻 4 号 p. 277-280,a1

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抄録

本報は, 茨城県下館市の圃場整備済み水田地区の用排水路を取上げ, 2001年4月から2003年6月の問定期的に実施した現地調査に基づき, 明らかになった魚類およびトンボ類の生息実態の分析を通して, 生物保全に配慮した水利システムの選択的・段階的な保全対策を提案した。簡便なものから順に,(1) 用水路系から排水路系へ魚類避難のために放流工を設置する,(2) 支線用水路と小排水路の間に魚道を設置する,(3) 地表排水と地下排水の分離処理による浅い小排水路を採用する,(4) 非灌漑期に小排水路に通水する。特に, 冬水によって水田生態系が豊かになれば, 農業用用排水路とつながる河川生態系を含めた地域全体の環境も豊かになるであろうことを指摘した。

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© 社団法人 農業農村工学会
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