2006 年 74 巻 8 号 p. 723-728,a2
筆者らは, 島根県大田市と旧島根県邑智郡邑智町で, 50mメッシュ気温分布図による気温分布の調査を行った。両地域ともに地形が複雑な中山間地域であるが, その地形的特徴は異なり, 邑智町の調査地域は, 江の川本流を底部にもつ谷を中心とする地域である。気温分布調査の結果, 江の川本流付近で, 桑や茶が栽培されていたのは, 地域特有の夜間温暖な気候を活用したものであったことが明らかとなった。そこで, 桑が導入されたのと同様, 地域の気温特性を農業振興に活用することを検討するため, 島根県の振興作物の栽培地域選定における, 50mメッシュ気温分布図活用の可能性を検討した。