冬期湛水・不耕起栽培について今後検討していくための一助となるべく, 本報ではこの農法の今日までの系譜をたどりながら, その特徴や課題について整理し, さらにこれらの機能やこの農法の課題, 普及の可能性をどう捉えるべきかについて言及した。
冬期湛水・不耕起栽培は, 岩澤信夫らによって経験則的に確立されていた-連の不耕起移植栽培と, 湿地としての機能を有するとされる冬期湛水とが, それぞれの特徴を一部相互補完しながら連携して成立している農法である。特に共通項として付加価値販売に有効な生物保全というキーワードを有している点が注目される。その反面, 随所に経験則的な部分や科学的根拠が弱い部分があることを指摘した。