第1回アジア・太平洋水サミットの成果である「ポリシーブリーフ2007」には, 域内各国の水計画において「環境流量 (E-flow)」を採用し, その取組みを促進することが盛り込まれた。また農業用水に関連して「環境のための水」に関し国内外でさまざまな政策的な取組みが進められている。このようなことから本報は, わが国の水田流域における農業用水政策について,「環境のための水」との関係に焦点を当て,(1) 水サミットの成果に基づきわが国の政策の評価を行い,(2) 環境用水の水利使用の現状,(3) 河川の正常流量における環境流量の現状, などを踏まえ,(4) 今後の政策課題を提示するものである。