抄録
日本で「研究支援」の語が使われるようになるのは1970~80年代だが,それが意味する現象や概念は多様である.よって分析するにも歴史を追うにも,あらためて対象を定めなければならない.文部科学省の現在のURA定義に照らせば,産学連携や知財管理を含めて歴史をカバーする必要がある.では,そのどこに「研究支援」が注目されなければならない契機があったのか.本稿ではほぼ30年にわたるわが国の研究支援史を社会史としてふりかえる.科学に貢献したい研究支援職に対し,大学は大学に貢献することを要求する.このギャップを常に認識することは,研究支援職としてのサバイバル・ストラテジーの重要な一部である.