本稿では,農林水産分野における課題解決に向けて,大学の研究支援人材(URAと産学連携コーディネーター,以下コーディネーターとする)が広域連携で取り組んだ事例を紹介する.
農林水産物の輸出促進研究開発プラットフォーム@九州・沖縄は,地域の特性を踏まえ,農林水産物の輸出促進に資する研究開発プロジェクトと輸出ビジネスモデルの構築を目的に活動を展開している.このプラットフォームでは,生産から輸送,販売,消費までのプロセスをシームレスに捉え,消費者ニーズに基づく品質の確保や輸送の最適化に重点を置いている.産学官連携で課題解決に取り組むことで,課題を解決し,その成果が生産者の所得向上や輸出増大を目指している.
このプラットフォームの中心的な役割を果たすのは,コーディネーターである.コーディネーターは関連組織とのネットワークを形成し,社会の課題やニーズを理解するために関係者との対話を行う.さらに,課題やニーズに関する情報を収集・分析し,解決策を提案するだけでなく,研究開発のコンソーシアム構築や資金調達,プロジェクトマネージメントに至るまで幅広い活動を行っている.コーディネーターは,地域や企業の声を聴き,シーズとニーズが集まる場をデザインし,積極的な活動を展開している.多様なステークホルダー間の協力や異業種の知の集積を促進し,社会課題の解決に取り組むために,コーディネーターの存在は不可欠である.コーディネーターの多岐に渡る能動的かつ自律的な活動によって,研究開発プロジェクトが実施され,地域や企業の課題解決に貢献し,新たなビジネス創出に向けたドライビングフォースとなっている.
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