産学連携学
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特集 知的財産教育~大学に求められている知的財産教育とその意義~
  • 宮田 敦久
    原稿種別: 特集 知的財産教育~大学に求められている知的財産教育とその意義~
    2025 年21 巻2 号 p. 2_1-2_15
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    本報告は,新潟大学における知的財産教育の背景と変遷について概説し,工学部の必修科目である「知的財産概論」,全学共通科目の選択科目の「特許・経営および製品開発入門」及び「特許と技術経営Ⅰ&Ⅱ」の実践状況を紹介する.また,長岡技術科学大学で実施している「技術開発と知的財産」,新潟薬科大学で実施している「知的財産論」の実践についても報告し,知的財産教育の実践を踏まえた課題と今後の展望を述べる.

  • 三枝 昌弘, 内島 典子
    原稿種別: 特集 知的財産教育~大学に求められている知的財産教育とその意義~
    2025 年21 巻2 号 p. 2_16-2_24
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    本稿では,工業系大学における知的財産教育について,北見工業大学の特色ある地域と知的財産教育の相互連携を図る教育実践を紹介する.現在,北見工業大学では2年次必修科目として「知的財産概論」を開講している.この科目では工学士として卒業していく学生が知的財産権制度の目的や概要について正しく理解することを目標としている.また3年次選択科目では「知的財産論」を開講し,2年次の「知的財産概論」の学びを基盤とし,地域における知的財産の活用を学ぶ実践的な科目として位置付けている.

  • 野田 佳邦
    原稿種別: 特集 知的財産教育~大学に求められている知的財産教育とその意義~
    2025 年21 巻2 号 p. 2_25-2_34
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    本稿では,知的財産に関するアニメ教材やミュージックビデオ(MV)を学生が主体的に制作する教育プログラムの実践事例をもとに,その成果と意義を考察する.知的財産は一般に難解な分野とされるが,専門家ではなく学生が視聴者目線で制作することで,より分かりやすいコンテンツが生まれる.制作過程においては,知識の整理や表現方法の検討を通じて,論理的思考力や実践的スキルの向上が期待できる.さらに,創作活動の楽しさを実感することで学びの持続性が向上し,成果物の社会実装によって学生は達成感を得られる.本稿では,複数の実践事例に基づき,学生主体のコンテンツ創作が知財教育において有効な手法となり得ることを示唆する.

  • 中川 勝吾, 庭﨑 隆, 田中 寿郎
    原稿種別: 特集 知的財産教育~大学に求められている知的財産教育とその意義~
    2025 年21 巻2 号 p. 2_35-2_41
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    知的財産関連人材の養成が求められている社会的背景から,愛媛大学では,2019年度の理学部および工学部の改組を見据えて,2017年に愛媛大学教育・学生支援機構共通教育センターが理系学部(理・医・工・農学部)に「知財教育」を導入する検討を開始し,2017年度から2018年度にかけて,愛媛大学教育改革促進事業「全学共通教育として求められる知財教育科目の開発と試行」なるプロジェクトを実施した.本プロジェクトにおいて,知財教育は,文系学部の学生に強いニーズがあることが判明したことから,2020年度から,全学部の1回生に対して共通教育科目「知的財産入門」を必修化した.学習者の成績やアンケート結果から必修化された当該科目に対する学習者の理解度が高く,授業レベルは適切であることが伺えた.

  • クチコロフ ミルショド
    原稿種別: 特集 知的財産教育~大学に求められている知的財産教育とその意義~
    2025 年21 巻2 号 p. 2_42-2_50
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    本稿は,山口大学において実施されている留学生向けの知的財産教育の内容を分析しつつ,教育効果の検証及び課題の洗い出しを行ったものである.その結果,法学を専門としない学生を対象とする知的財産教育を英語で実施する際に,特に専門用語のより丁寧な説明が重要であることを確認した.また,本題に関する先行研究の少なさが明らかとなり,さらなる教育効果の検証及び分析の蓄積,並びにデータ収集の必要性が示唆された.

  • 杉浦 淳
    原稿種別: 特集 知的財産教育~大学に求められている知的財産教育とその意義~
    2025 年21 巻2 号 p. 2_51-2_59
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    知的財産を教育の対象とするのであれば,知的財産制度が本当に社会に貢献する制度であるとする普遍的な意義を見出す必要がある.

    本稿では,先ず,知的財産制度の社会経済的意義について,経済原理に基づき詳細に分析したフリッツ・マッハルブの研究と,人間社会における「権利」の意義に基づいて再考したロバート・マージェスの研究について検討し,次いで,本稿の著者は,21世紀に人間が突きつけられているサステナビリティの確立に向けて試みられている「新しい資本主義」と知的財産制度との関係についての理論的分析を行い,さらにJPOが実施している「I-Open Project」及び本学が実施している地域ブランディングプロジェクトの活動実績をとりあげて,論理の分析と実証の経験とを踏まえて,検討を行った.

  • ~少人数で実施する際の留意点
    木村 友久
    原稿種別: 特集 知的財産教育~大学に求められている知的財産教育とその意義~
    2025 年21 巻2 号 p. 2_60-2_73
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    本報告では,知財教育に関する既報を再構成してこれまでの教育方法を紹介するとともに,それらの事例から少人数で知財教育を進める場合に留意すべき要素を検討した.結論として,①対象学生の状況を把握した授業改善,②カリキュラム体系と学習履歴を考慮した教材作成,③身近な事象から知財教材を作成,④一つの素材を学習段階が異なる授業で多角的に利用する,⑤授業素材のデジタル化と当該コンテンツの再利用,⑥AI発話システムの導入など新技術を取り入れた教材制作,⑦著作権処理スキルの獲得,⑧学生と協力した教材作成,⑨起業家教育担当者等との連携に留意した教育方法開発の意義を確認することができた.

論文
  • 服部 大輔, 白井 匡人
    原稿種別: 論文
    2025 年21 巻2 号 p. 2_74-2_82
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    大学発ベンチャー数および増加数にどのような大学の内部要因が影響を与えているのか明らかにすることを本研究の目的とした.解析には,ベイズ情報量規準(BIC)およびLasso回帰を用いた.従属変数には,2019年度,2020年度,2021年度の大学発ベンチャー数および1年間(2019年度~2020年度),2年間(2019年度~2021年度)の大学発ベンチャー増加数を設定した.独立変数には,共同研究受入額,受託研究受入額,科研費獲得額,特許出願件数,研究者数,専門支援人材数を設定した.その結果,各年度の大学発ベンチャー数には受託研究受入額が,大学発ベンチャー増加数には専門支援人材数が,最も大きな正の影響を与えていた.

  • 北村 寿宏, 川崎 一正, 竹下 哲史, 秋丸 國廣
    原稿種別: 論文
    2025 年21 巻2 号 p. 2_83-2_95
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    地方に位置する国立大学での共同研究の実施状況を明確にすることを目的に,共同研究の契約情報の提供の得られた18大学を対象とし2014年度から2018年度の5年間について共同研究件数の分析を行った.その結果,①ほとんどの大学で,共同研究の相手先として大企業の割合が高く,次いで中小企業の割合が高くなっていること,②大企業を相手先とする共同研究では,関東地方に位置する企業の割合が最も高く,近畿や東海地方に位置する企業も多いこと,③中小企業を相手先とする共同研究は,大学所在地県内企業の割合が高い一方で,関東や近畿,東海地方の割合も高いこと,がわかった.2009~2013年度を対象とした前回の調査の結果と今回の結果を比較した.その結果,①全体的な動向に大きな変化がないこと,②ほとんどの大学で共同研究件数が増加していること,③関東地方の大企業との共同研究を増加させている大学が多いこと,④大学所在地県内の中小企業との共同研究を増加させている大学が多いこと,が明らかになった.

  • 川端 勇樹
    原稿種別: 論文
    2025 年21 巻2 号 p. 2_96-2_105
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    従来産業の競争力が低下する中で,経済成長の裾野を広げるために各地域において産業構造の高度化による競争力の高い新産業の振興が求められている.この実現には地域の潜在力を活かし,域内外の様々な業種の企業,大学・研究機関等の間で従来の枠組みを越えた異分野間連携を通して付加価値の高い事業を創造することが重要であり,それに向けた異分野間連携の促進へのマネジメントが必要となる.本稿ではこの問題意識を基に,高い成長が見込まれる食農産業における異分野間連携を促進し産業高度化に取組む養父市と新潟市,および同分野でクラスター政策を実施しているドイツ・バイエルン州の3地域をケーススタディの対象とし,比較分析を行う.

研究ノート
  • 入野 和朗, 西川 洋行, 林 里織, 荒木 寛幸
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年21 巻2 号 p. 2_106-2_111
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    産学連携事業において,ヒトの行動・判断に注目して研究を進めている.SECIモデル,センスメイキングという二つの経営学の理論に共通する「表出化」「共同化」の二つの要素に抽目し,二重過程理論を加味することで,プロジェクトを左右する「ヒトの意思決定」の変化の可視化について提案した.それによって,プロジェクトや事業等の企画立案・マネジメント等に及ぼす効果・影響を予測するための評価手法(Ambition(個人的,内在的),Opinion(個人的,表出的),Empathy(集団的,内在的),Vision(集団的,表出的)から構成される視覚化手法を仮定し試行した.本法を一つの事例に適用することで,プロジェクトにおける意思決定の過程や要因を可視化できた.

  • ―2017年・2022年売上高上位200社の比較データを用いて―
    南 了太
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年21 巻2 号 p. 2_112-2_121
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー

    本論は,2017年と2022年の売上高上位200社のデータを用いて,大学教員が企業役員に就任した際の専門分野と年度・業種・役職・性別・年齢・所属大学区分の違いについて分析をした.両年度の比較をしたところ,この間に企業ガバナンスの場面で産学の人事交流が増えており,女性役員就任比率が約2.3倍に増えていた.また企業ガバナンスの場面では理工・生物系分野と人文社会系分野の専門分野間に違いが無いことも分かった.すなわち,このことは従来の産官学連携では共同研究や技術移転などの指標をもって語られてきたが,企業の経営関与の場面では分野問わず大学の専門分野が貢献していることを示している.

事例報告
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