産学連携学
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特集 連携による地域課題解決の取組み
  • 山口 泰史
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_1-2_10
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    若年層の流出によって,人口減少,高齢化が進む熊本県において,地域が持続的に活性化するためには,地域を支える若年層の存在が欠かせず,その対策は喫緊の課題である.そこで,大学2年生のゼミ科目において,こうした課題への解決策を模索するPBL (Project Based Learning) を実施した.さまざまな学習手法を取り入れ,また関係機関と連携しながらまとめた提案は,対外的に一定の評価を得たが,問題点も指摘された.これを踏まえ,今後は,ゼミ生が共通の課題に取り組むPBLから,ゼミ内の複数のグループが独自の課題に取り組むPBL,そして個々人が独自の課題に取り組むPBLへと継続する「段階的PBL」によって,地域課題解決に貢献しうる人材を育成する必要があると指摘した.

  • ~大学の使命と地域課題解決への関わり~
    石橋 史朗
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_11-2_19
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    地域貢献型大学として位置付けられることが多い地方大学において,地域連携は大学に期待される重要な役割の1つである.地域連携や地域課題解決に関わる活動は,大学の持つ社会貢献の使命の枠内で捉えられることが多いが,実際には他の2つの使命である教育や研究と密接な結びつきの下で実施されることも多い.本稿では,地方公立大学である会津大学における地域課題解決に関する取組み事例を,大学の3つの使命との関わりの中で紹介する.またこれらの地域連携活動が,大学の3つの使命の遂行と共存する形で円滑に実施されている要因についても考察する.

  • ~塩尻市と信州大学の15年間の軌跡と未来~
    林 靖人, 山田 崇, 大島 正幸
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_20-2_28
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    信州大学と塩尻市は,2004年に地域ブランドに関する研究会を発足し,2005年より共同研究として地域ブランド戦略・アクションプランを構築・実践してきた.2015年からは新たに地域ブランド創造事業とコミュニティ・エンゲージド・ラーニングによる地方創生を推進している.この間,我が国は,人口増から人口減に転じ,地域・社会の様態,行政・企業・大学などの各主体を取り巻く環境・考え方も変化している.本稿では,15年以上に及ぶ取り組みを改めてふり返り,その取り組みが地域にもたらしたこと,将来の地域に向けて考えるべきことを考察する.

  • 平子 紘平, 藤生 慎, 森崎 裕磨
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_29-2_37
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    様々な要素が複雑に絡み合う現在の社会課題解決には,大学と自治体との連携が一つの切り口となるが,その体制を効果的かつ継続的に推進していくためには,①大学側では「社会貢献」だけでなく「研究」の側面が重要である事,②個別の研究領域の枠を超えた「異分野融合」の体制で取り組む事,の2点が重要である.しかし,異分野融合研究に取り組む為には,研究チームの組成や研究成果の創出などの面で様々なハードルが存在する.異分野融合研究での成功事例に携わった研究者へのヒアリングを基に修正版・グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて,異分野融合研究チームの組成と研究成果の創出に向けたプロセスを明らかにする.

  • 西川 洋行
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_38-2_47
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    大学の地域貢献活動や自治体の地方創生活動の一環として,大学と自治体が連携して地域の課題解決を図る取り組みが増えている.しかし,その取り組みは未だ手探り状態にあり,地域課題の発掘やステークホルダーとの関係等において試行錯誤が続いている.地域課題発掘や連携目標の設定,当事者とステークホルダーの関係等の実態と問題点を明らかにするために,大学-自治体連携の事例分析・検証を行い,解決策を探った.統一された連携組織の下に,連携する組織やステークホルダーによる意志決定とその共有・維持を担うマネジメントと,担当者や研究者が柔軟に事業を実施するためのマネジメントが共存する体制を提示し,その有効性を明らかにする.

論文
  • 金井 昌宏
    原稿種別: 論文
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_48-2_58
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    科学技術基本法制定 (1995) 及び第1期科学技術基本計画策定 (1996) 以降,日本の産学連携諸活動は規模的な拡大基調が続いている.一方,第5期科学技術基本計画 (2016) では,日本の産学連携はいまだ本格化せず,イノベーションを生み出す力に十分繋がっていないとして,消極的評価がなされている.その原因の一端として,産学間の共同研究成果の活用が不十分である可能性が考えられる.本稿の目的は,産学間の共同研究成果の取扱いの問題を巡り,過去20年以上にわたり産学官各セクターから発信された提言を一種の「相互作用」として読み直すことにより,係る議論を経て形成されてきた実務が,現在の産学連携に及ぼす影響について考察することである.

  • 山口 佳和, 山崎 晃, 越山 健彦, 久武 昌人
    原稿種別: 論文
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_59-2_68
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,国公私立大学の地域中小企業との共同研究に影響を与える要因を明らかにすることである.大学の共同研究,大学の特徴や活動を表す大学指標,地域の公的支援,経済力,中小企業を表す地域指標に関するデータを収集して分析した.その結果,相関分析により個別の影響要因の強さが明らかになった.さらに,国立大学,公立大学,私立大学それぞれの共同研究件数/研究者数,共同研究受入額/研究者数を大学の影響要因と地域の影響要因により説明する重回帰モデルが作成された.大学の影響要因と地域の影響要因の比較としては,国立大学では大学要因>地域要因,公立大学では大学要因≪地域要因,私立大学では大学要因≫地域要因であることが分かった.

  • ―対応分析にもとづいて―
    阿濱 志保里
    原稿種別: 論文
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_69-2_76
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    教育課程において知的財産に関する良質な学習指導を行うには,学習者の状況や過去の学習経験が与える影響を理解したうえで効果的なカリキュラム開発や指導方法の検討が必要である.また,知的財産に関する学習内容は社会からのニーズや要請に配慮し学習活動の推進が求められる.本研究では,大学入学前までに知的財産の学習経験がある学習者が,大学時の知的財産学習において,どのように影響を与えるのかを計量的分析を用いて探索的に解明を試みた.さらに,大学時の知的財産学習の学習過程の影響についても対象とした.

    本研究では,以下3点について解明を試みる.

    1)学習者のこれまでの学校教育での知的財産に関する学習経験の有無が学習過程においてどのような影響を与えているのか

    2)学習過程が学習意欲に対してどのような影響を与えているのか

    3)学習過程が創作意欲に対してどのような影響を与えているのか

    その結果,大学入学前までに知的財産に関わる学習を行っている学習者は,学習内容の理解に積極性があり,大学での学習を経験することで,将来的な学びの継続性や権利取得に興味関心があることが明らかになった.大学入学前までに知的財産に関わる学習経験がない学習者は,学習理解の態度のみに言及された.このことから,他の内容に関する学習と同様,学習レディネスの有無が,学習内容の理解を促し,深い学びに関係していることが示唆された.

  • — Evidence from Japan and Europe —
    井内 健介, 坂井 貴行, PRÓNAY Szabolcs, BUZÁS Norbert
    原稿種別: 論文
    2020 年 16 巻 2 号 p. 2_77-2_91
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,大学の研究成果の商業化の担い手である産学連携実務者の意識に着目し,産学連携関連法の整備時期や技術移転市場の規模が我が国と類似している欧州の産学連携実務者を比較対象に,知的財産マネジメントの費用対効果に対する意識,大学の研究成果の商業化に対する意識,地域社会への貢献に対する意識の3つの観点から分析をおこなった.その結果,日本の産学連携実務者は,知的財産マネジメントの費用対効果に対する意識,地域社会への貢献に対する意識が欧州の産学連携実務者より低いものの,大学の研究成果の商業化のために,ビジネス視点を持つことを意識し,大学の特許の産業界への活用を強く意識している可能性が示唆された.

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