産学連携学
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九州・沖縄,One-Teamで展開する農学分野の課題解決~農林水産物の輸出促進プラットフォーム@九州・沖縄の取組~
  • ―農林水産物の輸出促進研究開発プラットフォーム@九州・沖縄の取り組み―
    房 賢貞, 福田 晋, 本田 一郎, 田代 耕士, 西片 奈保子, 中武 貞文, 殿岡 裕樹, 大野 富生
    原稿種別: 特集 九州・沖縄,One-Teamで展開する農学分野の課題解決~農林水産物の輸出促進プラットフォーム@九州・沖縄の取組~
    2024 年 20 巻 2 号 p. 2_1-2_8
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    本稿では,農林水産分野における課題解決に向けて,大学の研究支援人材(URAと産学連携コーディネーター,以下コーディネーターとする)が広域連携で取り組んだ事例を紹介する.

    農林水産物の輸出促進研究開発プラットフォーム@九州・沖縄は,地域の特性を踏まえ,農林水産物の輸出促進に資する研究開発プロジェクトと輸出ビジネスモデルの構築を目的に活動を展開している.このプラットフォームでは,生産から輸送,販売,消費までのプロセスをシームレスに捉え,消費者ニーズに基づく品質の確保や輸送の最適化に重点を置いている.産学官連携で課題解決に取り組むことで,課題を解決し,その成果が生産者の所得向上や輸出増大を目指している.

    このプラットフォームの中心的な役割を果たすのは,コーディネーターである.コーディネーターは関連組織とのネットワークを形成し,社会の課題やニーズを理解するために関係者との対話を行う.さらに,課題やニーズに関する情報を収集・分析し,解決策を提案するだけでなく,研究開発のコンソーシアム構築や資金調達,プロジェクトマネージメントに至るまで幅広い活動を行っている.コーディネーターは,地域や企業の声を聴き,シーズとニーズが集まる場をデザインし,積極的な活動を展開している.多様なステークホルダー間の協力や異業種の知の集積を促進し,社会課題の解決に取り組むために,コーディネーターの存在は不可欠である.コーディネーターの多岐に渡る能動的かつ自律的な活動によって,研究開発プロジェクトが実施され,地域や企業の課題解決に貢献し,新たなビジネス創出に向けたドライビングフォースとなっている.

  • ―サツマイモ基腐病対策研究会―
    西片 奈保子, 中武 貞文, 田代 耕士, 本田 一郎, 房 賢貞
    原稿種別: 特集 九州・沖縄,One-Teamで展開する農学分野の課題解決~農林水産物の輸出促進プラットフォーム@九州・沖縄の取組~
    2024 年 20 巻 2 号 p. 2_9-2_15
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    農林水産物の輸出促進研究開発プラットフォーム@九州・沖縄におけるコーディネートユニットは,参画する大学のURA等の研究支援者で構成されている.コーディネートユニットでは,設立当時より参画企業等から農林水産物の輸出における課題抽出を行ってきた.「知」の集積と活用の場産学官連携協議会事業の第2期の開始となる2021年度から,新たな研究開発に向け,プラットフォーム事務局により参画企業等へのヒアリングとアンケートを実施,情報提供とマッチングの場を「きゅうおきキャラバン」として企画し,各大学の研究シーズと人的ネットワークを活用して社会課題解決に向けた研究開発コンソーシアムの構築を目指すこととした.

    抽出された農産物輸出における大きな課題の一つが,2019年度から南九州を中心に猛威を振るっているサツマイモ基腐病への対策であった.宮崎大学では,2019年度から当該分野の研究が開始されていたこともあり,本テーマは宮崎大学が主となり,サツマイモ基腐病対策研究会として実施,競争的資金の獲得に至ることができた.

  • ―機能性表示食品の活用―
    大野 富生, 房 賢貞, 田代 耕士, 本田 一郎
    原稿種別: 特集 九州・沖縄,One-Teamで展開する農学分野の課題解決~農林水産物の輸出促進プラットフォーム@九州・沖縄の取組~
    2024 年 20 巻 2 号 p. 2_16-2_20
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    農林水産物の輸出促進研究開発プラットフォーム@九州・沖縄1)にはコーディネートユニットが設置されており,同プラットフォームに連名する大学より産学連携コーディネータやURA等の研究支援人材が参画し,企画や運営を担っている.同コーディネータユニットでは農産物の輸出促進に寄与する情報提供やマッチングの場のテーマとして,現在,国内でも市場が拡大している「機能性表示食品」を設定することとし,2023年度中に2回のキャラバンを開催した.2回のキャラバンは識者による講演と参加者とのディスカッションの構成とし,参加した企業等からは機能性を持った食品の今後の輸出促進に期待を持つ意見が聞かれる一方で,食品の機能性に係る科学的なエビデンスを適切に確保すること,または各国で異なる機能性表示に係る法規制の問題への対応への難しさに係る意見等が多く聞かれた.

論文
  • ―アンケート調査結果とその内容に関する考察―
    伊藤 正実
    原稿種別: 論文
    2024 年 20 巻 2 号 p. 2_21-2_32
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    令和4年5月より,みなし輸出に関する規制が追加され,外国政府等から強い影響を受けている日本国内の居住者は常に輸出管理の対象になった.例えば,出身国から経済的な支援を受けている留学生や,クロスアポイントメント制度を利用して日本に来ている外国人研究者等がこれにあてはまり,特定類型該当者として役務の提供等に関する輸出管理をおこなうことが法令上の義務となった.本稿では,大学の教職員や学生における特定類型該当者に対する輸出管理の運用に関するアンケート調査をおこない,これに関する課題について述べる.

研究ノート
  • (2004~2013年度の実施状況との比較)
    網屋 毅之, 秋丸 國廣, 北村 寿宏, 川崎 一正, 竹下 哲史
    原稿種別: 研究ノート
    2024 年 20 巻 2 号 p. 2_33-2_42
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    共同研究の実施状況を詳細に分析し現状を明らかにし,共同研究の推進の問題や課題を明確にして解決に向けた一助とするために,宇都宮大学の共同研究の状況について,2014~2018年度の契約データに基づき,共同研究の相手先,相手先の地域性,研究費受入額などの分析を行った結果,2004~2013年度の状況と比較して,①共同研究全体における件数,受入額は増加傾向にあること,②大企業や中小企業の相手先の割合,相手先の地理的分布や共同研究1件当たりの研究費受入額については大きな変化がないこと,③栃木県内の中小企業との共同研究件数が減少から増加に転じていること,④2004~2018年度の15年間では,共同研究の実施状況に大きな変化は見られないこと,が明らかになった.

事例研究
  • 永井 明彦, 寺野 稔, 中田 泰子
    原稿種別: 事例研究
    2024 年 20 巻 2 号 p. 2_43-2_50
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    一般にニーズやシーズが集まる「共創の場」がイノベーション創出に有効であると言われている.本論文における「共創の場」とは,必要な情報を共有することを目的としたマッチングイベントの「場」である.しかし,「共創の場」では互いの課題を解決するシーズやニーズを誰が持っているのかわからないことも多い.したがって,「共創の場」の中で求めているニーズやシーズを結びつける役割を果たす触媒が必要である.

    本論文は,北陸先端科学技術大学院大学が主催するMatching HUBの事例を基に,企業が必要な知識を探索し,大学が企業の求める研究により成果を生み出す蓋然性を高める産学連携を考察する.その上で,必要な機能を明らかにし,新たな産学連携による知識循環の方策を提案する.

  • 中田 泰子
    原稿種別: 事例研究
    2024 年 20 巻 2 号 p. 2_51-2_60
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    2023年に入り,新型コロナウイルス感染症の拡大も終息の兆しが見えてきた.本研究では,展示会形式のオープンイノベーションの「場」であるMatching HUBを事例とし,オンラインとリアルの開催形式について2020年度からのコロナ禍初期3年間における参加者の意識の変化について経年的な検討を加えることとした.その結果,コロナ禍における展示会への出展に対して,3年間という比較的短い期間においてもリアル開催への志向が高まり,今後の展示会などのオープンイノベーションの「場」をリアル開催することの必要性と重要性を明らかにすることができた.

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