抄録
産学官連携等が活発になっているなか,大学が適切に秘密情報管理を行うにあたっては,学生の在籍といった大学特有の事情を考慮する必要がある.大学には研究成果,入試情報等の様々な情報資産があるため,まずは情報資産の把握と秘密情報の選別を行ったうえで,漏えいリスク等に応じた管理水準に基づき,漏えい対策と学内管理体制の構築を行うことが重要となる.一方,大学と雇用関係にない学生に対しては,研究活動等で秘密情報を扱うメリットと,学会発表制限等の秘密情報管理上の義務とのバランスを考慮しつつ,そのような研究活動等への学生参加の是非や,秘密保持に関する通則・誓約書等の利用,大学との雇用契約の締結といった方法を検討することが求められる.