中小企業は我が国の持続的な経済成長や地域経済の基盤を担っているが,大企業と比べて先端科学技術分野への参入は容易ではない.本研究では,産学公連携のために形成・運営されるコンソーシアムが,中小企業の新規参入や事業開発を促進する可能性を論じる.具体的には,幹細胞・再生医療分野に注目し,本分野のコンソーシアム事例を観察・分析した結果,これに参画する中小企業は大企業に比して,大学・公的研究機関との地域を超えた協業機会,ブランドや信用の補完効果をコンソーシアムより享受していることが示された.本結果は,産学公連携のコンソーシアム組織が,意欲ある中小企業の事業展開にさらなる貢献を果たす可能性を示唆するものである.