2020 年 16 巻 2 号 p. 2_48-2_58
科学技術基本法制定 (1995) 及び第1期科学技術基本計画策定 (1996) 以降,日本の産学連携諸活動は規模的な拡大基調が続いている.一方,第5期科学技術基本計画 (2016) では,日本の産学連携はいまだ本格化せず,イノベーションを生み出す力に十分繋がっていないとして,消極的評価がなされている.その原因の一端として,産学間の共同研究成果の活用が不十分である可能性が考えられる.本稿の目的は,産学間の共同研究成果の取扱いの問題を巡り,過去20年以上にわたり産学官各セクターから発信された提言を一種の「相互作用」として読み直すことにより,係る議論を経て形成されてきた実務が,現在の産学連携に及ぼす影響について考察することである.