抄録
大学教員の発明を職務発明とする理論的根拠を検討した. 職務発明の要件は使用者の業務範囲に属しかつ従業者の過去又は現在の職務に属することと規定される. 使用者の業務範囲を発明の通常実施権享受と関連づけ, 大学の業務には通常実施権の利益がないという理由により大学発明の職務発明性を否定する学説がある. 使用者の実務は通常実施権ではなく承継を重視してきたので, 通常実施権の縛りを解き, 業務範囲を最近の他の立法措置によって定義付け, 大学教員の職務も新しい大学法人の業務範囲を遂行するものとして定義付ければ, 業務範囲と通常実施権の取得とを関連付ける議論に縛られることなく職務発明の要件を充足し職務発明性に肯定的な結論を導くことができる.