抄録
固形化燃料であるRDFを燃料とする流動層燃焼廃棄物発電の長期運転では,RDF中に含まれるアルカリ成分が付着凝集した熱媒体粒子による,熱交換器部材の化学的あるいは物理的な腐食が懸念されている。本研究では熱交換器部材の腐食メカニズムを明らかにすることを目的として,熱交換器部材の試験片を流動層燃焼条件に24時間曝した後,試験片の重量変化,SEM/EDXによる表面観察,溶出試験,熱力学平衡計算によって腐食関与物質の特定を行った。結果として,熱交換器部材にSUS310Sを用いた場合,空気雰囲気,弱い粒子流動化状態で腐食が進行しやすいこと,腐食要因は炉底砂成分のカルシウムとSUS310S成分の鉄とクロムの化合物であるCa3Fe2Si3O12およびCaCr2O4であることを明らかにした。