廃棄物資源循環学会論文誌
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最新号
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展望論文
  • 髙橋 一彰, 平井 康宏, 酒井 伸一
    2020 年 31 巻 p. 25-37
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/05
    ジャーナル フリー
    2002 年に欧州で制定された電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する RoHS 指令では,多種の化学物質がある中,廃棄段階でのリスクに着目しつつ,製造段階での取り組みを促すことで,より適切な管理を進める制度といえる。また,廃棄物処理に伴う環境負荷について,欧州域内のみならず,途上国等他国における処理に関しても負荷削減が期待される他,リサイクルによる有害化学物質の伝播を防ぐことにもつながる。
     日本の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律では,化学物質のライフサイクルにおける環境中への排出を念頭に,化学物質の有害性や排出量に分解性を加味した量で優先順位を付けて評価を行い,その使用に関する規制を行っている。RoHS 指令のように処分の過程での環境・労働者への影響が懸念される物質も優先とすることで,より適切な管理を進めることが期待される。
論文
  • 中村 洋祐, 大塚 将成, 治多 伸介, 大森 大輔
    2020 年 31 巻 p. 1-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/18
    ジャーナル フリー
    電子付録
    硫黄酸化細菌を用いたバクテリアリーチング (BL) により,し尿汚泥焼却灰からの最大リン溶出濃度とその影響因子の把握を目的に振とう培養実験を行った。全 14 施設の焼却灰のうち最も高いリン溶出濃度は,焼却灰添加率 6 % で 5,700 mg-P L−1 であった。リン溶出濃度の高い焼却灰は焼却灰添加率,リン溶出率,焼却灰の P 含有率のいずれも高く,リン溶出濃度の低い焼却灰はこれら 3 項目の一部が極端に低かった。リン溶出率の高い焼却灰は,凝集剤が Fe 系より Al 系が使用されており,含有リン酸塩が Ca9Al(PO4)7 より Al(PO4) を多く含むと考えられた。リン溶出濃度 3,000mg-P L−1 以上を高濃度溶出,未満を低濃度溶出として判別分析を行うと,高濃度溶出の判別率 92.6 % の有意な判別関数を得た。添加焼却灰中の P が多いほど,Ca, K, Al が少ないほど,高濃度溶出であることがわかった。BL 溶出の使用薬剤経費から試算したリン溶出単価は硫酸による化学溶出の 1/3 から 1/4 であった。
  • 森 朋子, 三ヶ尻 智晴, 田崎 智宏
    2020 年 31 巻 p. 13-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/29
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究では,近年,普及が進んでいるインターネットを通じたリユース (以下,ネット型リユースという) に着目し,その利用経験が不用衣服の排出行動に及ぼす影響を分析した。衣服の購入が多い 15 ~ 49 歳の女性を対象にウェブアンケートと統計分析を実施した結果,ネット型リユースの利用を経験すると,リユースショップのような従来型のリユースルートよりもネット型リユースの活用を好むようになることがわかった。また,ネット型リユースを現在利用していなくても,過去に利用した経験があれば,不用衣服をごみとして廃棄する行動は抑制され,リユースショップ等に出す行動が促進されることも明らかとなった。これらの結果より,ネット型リユースの利用経験が,リユースの具体的な方法を学んだり,不用衣服のリユース品としてのポテンシャルを認識したりすることに役立っていることが示唆された。
  • 土手 裕, 関戸 知雄
    2020 年 31 巻 p. 38-46
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/05
    ジャーナル フリー
    養豚廃水からの N, P, K 同時回収における K の回収率を向上させることを目的に pH10~11 の条件で回収実験を行った。また,回収後溶液の生物処理に与える影響を明らかにすることを目的として回分式活性汚泥処理を行った。その結果,P 残存濃度を排水基準以下に保ち,80 % 以上の高い回収率で K と N を回収できる条件は,pH=10.5, P/(N+K)=1.3, Mg/P=1.2であった。この時の K 回収率は 81 % であり,K の回収率を向上させることができた。N 回収率については 89 % であり,高い回収率を保つことができた。また,添加した以上の P を回収することができた。pH10.5 で回収した溶液は,中和することなく 1 次処理水と同程度の TOC 除去が期待できることがわかった。また,生物学的脱窒処理を行わなくても窒素の排水基準を満たすことができた。
  • 小泉 裕靖
    2020 年 31 巻 p. 47-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/05
    ジャーナル フリー
    本研究は,全国のごみ組成調査等のうち食品ロスが把握できる調査を収集し,比較分析等により食品ロスの発生に関する傾向や特徴の把握を行うことを目的としている。これらを補完,検証するためにごみ組成調査を実施し,留意点や課題を明確化した。結果としては,家庭系では,人口密度が高くなると直接廃棄割合は減っていくこと,食べ残しは人口密度との相関は小さいことが示唆された。一方,事業系の直接廃棄については,人口密度が高い都市のほうが割合は減っていく傾向を示したが,家庭系に比べてその相関は小さいことが示唆された。また,食べ残しに関する調査数が少なく,特に事業系における調査の拡充が必要であることも示した。食品ロスに関わるごみ組成調査の実施にあたっては,食べ残しの分類方法,分類不能物の取り扱い,容器と内容物の分離,過剰除去の取り扱いが,今後の課題となることを示した。
研究ノート
  • ――テキストマイニングによる小学生の意識の集約と発掘――
    齊藤 由倫
    2020 年 31 巻 p. 55-64
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル フリー
    ごみ減量に関する意識高揚を目的に,市民アイデアコンテストが日本各地で行われている。本研究は,その応募作品から主要な応募者の意識を発掘できるかを実証分析するため,群馬県主催のコンテストを対象に応募作品のテキストマイニング分析を行った。応募者の 8 割超を占めた小学生の作品に焦点を絞って分析した結果,多くの小学生がもつ理解として,頻出名詞の「紙」「服」「ペットボトル」「皮 (食品廃棄として)」が指すごみへの問題意識が強いこと,ごみ種別ごとにリデュース,リユース,リサイクルのどれを推進すべきかの認識の強さが異なることが明らかとなった。一方,コンテストの一般的な審査による得点と抽出語の関係分析からは,言語的に他と類似しない一部の独創的な作品が高評価を得て入選しやすい特性が示された。したがって,応募者の多数意見を捉えることのできる本論の手法は,既存のコンテストに新たな付加価値を見出せることが期待された。
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