廃棄物資源循環学会論文誌
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論文 若手研究者特集 2022
  • ――食品ロスに関心がある若者を対象として――
    木村 由佳, 佐藤 みずほ, 神武 直彦
    2023 年 34 巻 p. 1-14
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/20
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,20 代を中心とする若者を対象に家庭系食品ロス低減に向けて,複数の介入を組み合わせた介入システムを設計し,家族構成別に,食品ロス低減の効果を明らかにする。介入システムは,介入手法の記録とフィードバック,コミュニケーション,プロンプトを組み合わせた。
     その結果,食品の写真撮影記録およびフィードバックの介入が特に印象に残った介入手法となった。家族構成による明らかな違いはみられなかったが,食品ロス増減量から被験者のタイプを特定でき,一つのタイプでは 「食品ロスで発生した CO2 の量」 と,「食品ロスとなっていた食品が実は食べられる」 というフィードバックが印象に残り,もう一つのタイプは 「食品ロスとなっていた野菜や果物の皮が栄養豊富である」 というフィードバックが印象に残ったことから,家族と会話したことによる意識・行動変容に影響を与えた可能性がある。記録とフィードバックの介入を組み合わせて実施することで食品ロス低減につながる可能性があると考える。
論文 若手研究者特集 2023
  • 山﨑 拓, 國弘 彩, 疋田 貴大
    2023 年 34 巻 p. 106-112
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/12
    ジャーナル オープンアクセス
    CO2 の削減方法の一つとして,産業副産物に CO2 を固定し,最終処分場に埋め立てることで,処分場 CCS の実現可能性が研究されている。しかし,固定化後の挙動は未解明で,外部要因により CO2 が再放出することが懸念される。そこで本研究では,酸性雨によって CO2 を固定化した産業副産物から CO2 が再放出される条件を検証し,処分場 CCS への適用可能性について検討した。
     CO2 再放出の評価のため,産業副産物である煤塵に CO2 を十分固定化させ,酸性雨を模擬した溶液と混合させた後,固液分離を行い,固体の炭酸塩含有量を測定することで CO2 の再放出を評価した。その結果,煤塵 1 g に対して,CO2 がすべて再放出されるには 0.820 m3 以上の酸性雨が必要であることが判明した。最終処分場に埋め立てたと仮定した場合,酸性雨による再放出率は,30 年経過したとしても 7.84 × 10−4 % と非常に低いことが示唆された。
  • 髙地 春菜, 久保田 洋, 繁泉 恒河, 正木 祥太, 池田 恵俊, 川井 泰行, 長尾 良和, 井上 光浩, 肴倉 宏史
    2023 年 34 巻 p. 113-123
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/10
    ジャーナル オープンアクセス
    廃棄物・資源循環分野でも CCUS に関する取り組みが活発になる中で,焼却灰の炭酸化処理は炭酸塩の形成による CO2 固定と同時に鉛等の溶出抑制も期待できる技術である。ただし,重金属溶出濃度の高い焼却飛灰において確実な不溶化を行うには薬剤処理との併用が望ましい。本研究では産業廃棄物および一般廃棄物の焼却飛灰について炭酸化およびキレート剤添加を組み合わせた場合の鉛溶出抑制効果を検証し,キレート剤使用量の削減可能性について検討した。また,鉛溶出促進が懸念される高塩濃度条件下についても低液固比での溶出試験 (浸漬遠沈試験) により検証を行なった。その結果,炭酸化後にキレート剤添加を行うことで,キレート剤を削減できる可能性が示された。また,低液固比による高塩濃度条件下では,一部の飛灰において炭酸化による鉛溶出促進がみられたが,キレート剤と組み合わせることで同条件下でも溶出抑制が可能であることが示唆された。
論文
  • 土手 裕, 原田 秀樹, 関戸 知雄
    2023 年 34 巻 p. 23-29
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/24
    ジャーナル オープンアクセス
    シリコン系太陽光パネルセルから分離されたカバーガラスと比重分離残渣のコンクリート用細骨材としての環境安全性を評価するために,カバーガラス,比重分離残渣,これらの混合物である廃パネル骨材,廃パネル骨材を用いた利用模擬試料,セメントペースト試料について JIS A 5011-1 による溶出量試験,含有量試験を行なった。比重分離残渣のPb含有量が環境安全品質基準値を 1.5 倍超過したが,廃パネル骨材の Pb 含有量はカバーガラスと比重分離残渣の混合による希釈効果により含有量基準を満足した。カバーガラスの Sb 溶出量が指針値を 1.1 倍超過したが,廃パネル骨材の Sb 溶出量は指針値を満足した。廃パネル骨材が含有量基準 ・溶出量基準を満足したことにより,利用模擬試料も含有量基準・溶出量基準を満足した。よって,今回対象とした廃太陽光パネルセルをコンクリート用細骨材として用いた場合,骨材,利用模擬試料どちらで評価しても環境安全上利用が可能であるといえた。
  • 山﨑 友紀, 細川 さとみ, ホンゴウィ ダグラス
    2023 年 34 巻 p. 30-43
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
    プラスチックごみの削減と資源循環が強く求められている中,ポリ塩化ビニル (以下 PVC) 等,ハロゲン系樹脂のケミカルリサイクル方法はまだ確立されていない。本研究では PVC の水熱反応による安全で有効なケミカルリサイクルを目指し,塩基性溶媒の効果や異なる反応場での PVC の反応挙動の違いを明確にすることを目的とした。そのため液相 (攪拌),液相 (静置),蒸気相の 3 パターンを設けて異なる塩基性溶媒や添加剤を用い,脱塩素挙動や表面の形状,生成物の構造について比較した。その結果,PVC のおかれる水熱反応場と塩基の種類により著しく脱塩素化率や生成物の構造が異なること,液相 (攪拌) 条件で尿素やアミン類を添加剤として使うことで著しく反応性が向上し炭化が抑えられることなどがわかった。PVC の水熱反応場の反応条件を詳細に検討することにより PVC の化学構造の制御やケミカルリサイクルの可能性が示唆された。
  • 石森 洋行, 徐 敏, 眞鍋 尚, 石垣 智基, 遠藤 和人, 山田 一夫, 山田 正人
    2023 年 34 巻 p. 44-58
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録
    鉄筋コンクリートを主体とする遮断型処分場は,1998 (平成 10) 年度の構造基準の改定により部材厚さが 150 mm から 350 mm に変化している。わが国に存在しうる基準改定前と後の遮断型処分場に着目し,地盤条件や埋立条件が有害物質の漏洩源となるひび割れ幅に与える影響を調べた。健全な強度が保たれていればひび割れ幅は 0.5 mm 未満であり,最も過酷な条件を想定した湛水時における地震時のひび割れ幅が最も大きくなった。部材ごとにひび割れ幅を比較すると,側壁や下部床版は地盤条件や埋立条件によって左右されやすいのに対し,上部床版ではこれらの因子に影響されることはなく,部材厚さや強度特性によってひび割れ幅は決まることがわかった。このことは,本解析手法が雨水浸透の抑制や地震荷重による負荷の軽減,埋立廃棄物中の化学物質の流出防止等の安全性向上の要求に対して,周辺地盤条件を鑑み各部材の設計条件をより精緻なものにするための,有効な手段であることを示している。
  • 豊久 志朗, 藤原 尚美, 中嶋 友希子, 宮後 靖浩, 森岡 あゆみ, 石橋 弘志, 樋口 壯太郎, 佐藤 研一
    2023 年 34 巻 p. 59-69
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/27
    ジャーナル オープンアクセス
    最終処分場では早期安定化が重要な課題であり,放流水,地下水,埋立ガス,埋立地内部温度等,さまざまなモニタリングが行われている。中でも,浸出水原水の水質は埋立地全体を評価できるモニタリング項目として重要である。浸出水には多種多様な化学物質が含まれることから,従来から実施されている化学分析を補完できるバイオアッセイの活用が求められている。一般的に化学分析と比較し,バイオアッセイは試験に長時間を要することで,高額となることから,最終処分場の維持管理に活用された報告はみられない。そこで,現地の簡易施設で,迅速,かつ,簡便に実施できる手法として,魚類であるアカヒレを使用し,24 時間で結果を得る急性毒性試験を 2 年間継続して行なった。その結果,当該バイオアッセイは現地で測定可能な最終処分場の維持管理方法として有用性があることを把握した。
  • 由井 和子, 倉持 秀敏, 大迫 政浩
    2023 年 34 巻 p. 70-80
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録
    ストロンチウム化合物の反応特性は,原子力発電所の事故等で発生した放射能を含む廃棄物を焼却炉や溶融炉で処理する際のストロンチウム-90 の挙動を考える上で重要な情報であるが,同族元素であるカルシウムの化合物に比べて実測の情報が不足している。本論文では,焼却施設の炉内および排ガス冷却過程において生成が予想されるストロンチウム化合物の反応性について,水酸化ストロンチウムと炭酸ストロンチウムを中心に2種類のラボ試験を用いて検討した。バグフィルタの温度である 180 ℃ では,水酸化ストロンチウムは 1 時間の塩化水素ガスの通気によってさまざまなストロンチウムの塩化物を生成することが明らかになった。また燃焼温度である 850 ℃ では,1 時間の加熱で炭酸ストロンチウムと石英,コロイダルシリカ,ベントナイトはそれぞれ反応してストロンチウムのシリケート Sr2SiO4 を生成することが確認された。
  • 恩田 紘樹, 高橋 慶行, 綿貫 陽介, 吉野 功, 鳥越 智香子, 江原 寛一, 前原 俊彦
    2023 年 34 巻 p. 81-92
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル オープンアクセス
    豆腐製造時の副産物であり吸湿性に優れたおからのバイオマスフィラーとしての用途可能性について検証するため,おからを混練したポリプロピレンシート (おから混練 PP シート) を作製したところ,おからの混練割合が高いほど降伏点応力や降伏点伸度が低下し,おから混練割合が 60 wt% になると弾性率も低下した。これはおからと PP の接着性が低く,特におからの混練割合が高くなるとクラックが形成されたためと考えられた。一方でおから混練割合の増加に伴い水蒸気吸着量は増加し,吸湿性は高くなった。さらに,おから混練 PP シートを 40 ℃, 93 % R.H. の恒温恒湿処理環境下においたところ,力学的特性低下,水蒸気吸着量増加および寸法変化は 7 日経過時点までが最も顕著であったものの,これらの変化は実用上許容される範囲と考えられた。以上の結果から,おから混練 PP シートは内容物の吸湿を抑制する包装材料として利用できると考えられた。
  • 鈴木 慎也, 多島 良, 立藤 綾子
    2023 年 34 巻 p. 93-105
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本報告では,全国市区町村アンケート調査に対する 747 件の回答結果をもとに,平時の廃棄物関連業務の実態を災害廃棄物処理の観点から整理し,自治体規模別の特徴を明らかにするとともに,平時における災害廃棄物対策のあり方について検討を行なった。その結果によれば,人口規模が小さくなるほど担当職員の不足を感じながら業務をこなしており,住民からの問い合わせ対応,収集運搬の実務等を優先的に行う一方,処理計画策定等は業務負担が大きく,業務そのものを実施していない割合も高い。ただし,被災経験のある自治体の調査結果によれば,ごみ処理実施計画の策定が有効であることが示唆された。ごみ処理の流れを体系的に理解・整理する機会を得ることが,住民からの問い合わせ対応とあわせ平時における対策の強化点となることが示唆された。
研究ノート
  • 日置 和昭, 藤原 照幸, 本郷 隆夫, 山本 剛一, 中岡 明
    2023 年 34 巻 p. 15-22
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,廃棄物資源循環という観点から,廃ガラスカレット (GC) を圧密促進工法の一つであるサンドドレーン (SD) 工法の中詰め材料として有効利用するため,GC や SD 材として適用実績のある海砂,さらには SD 材としては不適応な山砂 (まさ土) に GC を混ぜた GC 混合砂を対象に,1/10 モデルの圧密土槽試験を考案・実施し,GC の SD 材としての適用性について実験的考察を行なった。その結果,① GC を用いた SD と海砂を用いた SD の圧密促進効果 (圧密速度) は,ほぼ同等と評価できること,② 山砂 (まさ土) も GC と混合させ粒度改良を施すことにより,海砂とほぼ同等の圧密促進効果 (圧密速度) を期待できること,③ 透水係数 ks が 5.5 × 10−5 ~ 1.7 × 10− 3 m/s の範囲にある SD 材では,圧密促進効果 (圧密速度) に大きな差異は現れないことが明らかとなった。
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