抄録
周辺環境のモニタリングデータや埋立内容の資料が少ない最終処分場において,処分場近傍にあるため池の底質コアを用いて,周辺環境汚染の時系列的変化を検討した。対象としたサイトは房総半島東部にある沖積谷底平野谷頭部を埋め立てた最終処分場およびその周辺である。処分場から約100m下流に農業用ため池が存在する。このため池底質に含まれる重金属およびCs-137の濃度トレンドから周辺環境の変遷を検討するとともに,廃棄物埋立層からの重金属類流出履歴を推定した。また,比較対照データとして,廃棄物埋立層・その周辺の表層土壌・最終処分場の影響のないため池の底質と表層土壌における重金属含有量を測定するとともに,湧水やため池の水質等も分析した。その結果,ため池底質は,廃棄物埋立層や周辺環境の変化を時系列的に解明することに対して有効なデータを提供可能であることが判明した。