抄録
規格外バレイショおよび廃シロップの資源を有効利用するため,酵素処理後,アルコール発酵によりバイオエタノール生産の研究を行った。バレイショマッシュを廃シロップで希釈することにより粘度を下げ,同時に糖濃度を上げた。これらの混合物を酵素液化 (85℃,30分間) 後,酵素糖化 (60℃,2時間) した結果,グルコースはほぼ全量回収できた。さらに液化酵素剤を3/5,糖化酵素剤を2/5に削減しても,グルコース回収率90%を達成できた。次に回分発酵試験を行った結果,糖化液培地で60.7g/L,混合液培地で68.8g/Lのエタノールを生成し,発酵収率は84%および90%であった。また,殺菌していない混合液培地を用いて単段式連続発酵試験を行った結果,64.0g/Lのエタノールを生成し,エタノール生成収率約90%,生産性25.6g/L/hを達成でき,無殺菌連続発酵が可能となった。これらの結果から,規格外バレイショ1,614tonと廃シロップ10,000tonからバイオエタノール988kLと乾燥飼料400tonが生産されることがわかった。