廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
都市ごみ溶融を模擬したCaO-SiO2-Al2O3系溶融スラグからの酸化鉛の揮発速度解析の検討
景山 広樹河内山 拓哉長田 昭一河口 祐輝窪田 光宏松田 仁樹
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2011 年 22 巻 1 号 p. 52-60

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抄録
都市ごみの溶融過程におけるPbOの揮発挙動を模擬して,N2:80%-O2:20%雰囲気,溶融温度1,673~1,773K,溶融炉内のN2-O2混合ガス空間速度1.50×10−4~3.01×10−3m・s−1の流通条件下においてCaO, SiO2, Al2O3の含有量をそれぞれ10~60wt%の範囲で混合調整したCaO-SiO2-Al2O3系溶融模擬スラグからのPbOの揮発速度解析を行った。本研究では,溶融スラグ中および気相中のPbOの物質移動速度を求めるにあたり境膜説を用い,さらに常圧下におけるアルゴン気流中のMnの溶鉄からの蒸発速度を用いることによってN2-O2雰囲気におけるCaO-SiO2-Al2O3系溶融スラグからのPbOの揮発速度を推算した。また,本実験ではCaO-SiO2-Al2O3系溶融スラグからのPbOの揮発速度を見積るにあたり,総括物質移動係数をスラグ組成および温度の関数として求めた。
その結果,本実験条件下ではN2:80%-O2:20%の混合ガス流速9.02×10−4m・s−1以上の条件ではCaO-SiO2-Al2O3系溶融スラグからのPbOの揮発速度は蒸発速度および液側物質移動速度の両者によって影響されることが認められた。また,本速度解析でもとめた計算結果は本実験範囲内において,粘度0.40~1.4Pa・sの低粘度のCaO-SiO2-Al2O3系溶融スラグに対して実験結果を比較的良く再現することができた。
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© 2011 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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