2011 年 22 巻 5 号 p. 293-297
バイオマス研究に重要となるリグノセルロースの成分分析には,従来より広くデタージェント法が用いられている。しかしながら,デタージェント法は操作が煩雑であり,廃液も多量に排出されるという問題点がある。そこで本研究では,より迅速簡便なリグノセルロースの成分分析法として,熱重量解析による定量分析法を提案し検討した。この方法は,ヘミセルロース,セルロース,リグニンそれぞれの熱分解挙動の違いに着目し,灰分も含めた各成分を等速度昇温分析により求める方法である。種々の実験的検討の結果,提案した方法は,迅速簡便で誤差10%程度の確度を持ち,かつ廃液も出ない成分分析法としての実用性が示された。