抄録
PCBは有害物質であり,国内では2016年までの処理が法律で義務づけられている。本研究では,高濃度PCBに汚染されたコンデンサおよび高圧トランスからのPCB溶出実験と,マイクロ波・触媒反応による脱塩素実験を同時に行った。一方,内部部材内でのPCBの拡散方程式と,溶出したPCBの脱塩素反応についての反応速度式を同時に解き,この手法が実験で計測されたPCB濃度の経時変化を定量的に説明することができるか検討した。室内で行ったコンデンサ無害化試験においてはPCB濃度の計算値は実測値とよく一致したことから,今回のシミュレーションがPCB濃度の予測に有効と考えられた。一方,外気温に左右される倉庫で行われた高圧トランス無害化試験においては,反応速度定数を反応時間帯において変化させないと,計算値は実測値と一致せず,その原因の一つとして溶液温度が下がった場合にKOHが析出し不足することによる反応速度の低下などが考えられた。