2012 年 23 巻 6 号 p. 279-290
多くの途上国の廃棄物問題は,経済成長,都市集中にともなって深刻化している。対応する途上国の中央政府,地方自治体は多くの課題を抱えており,問題は肥大化しているケースが多い。
本研究は,ごみ問題における環境ガバナンス的アプローチを視野に入れつつ,廃棄物管理に市民の協力を得るための市民の環境意識と行動に対する行政からのアプローチについて,事例分析を通じて考察した。
その結果,事例として選択したスリランカの2つの町の実態調査や質問票調査と分析を通して,市民の環境意識は高いものの,実際の行動との間にはギャップがあること,行政の取り組みに対する信頼が高い場合には具体的な環境配慮行動を引き出す可能性があること,市民の協力を引き出す努力において改善の余地が大きいことが示された。