2013 年 24 巻 6 号 p. 133-141
セメント,高炉スラグ微粉末,廃碍子微粉末からセメントペースト試験体を作成し,その圧縮強度,耐酸性について調査した。セメント:高炉スラグ:碍子の質量配合比が18種類の試験体で圧縮強度試験を実施し,防食被覆層に用いる耐硫酸モルタルの品質規格の圧縮強度基準を2配合比のみが下回った。碍子比をあげると圧縮強度が下がるが,本研究の結果から圧縮強度基準を上回る試験体を作成しようとする場合,碍子は40%程度まで添加可能と推定された。さまざまな配合比の試験体を5%硫酸,10%硫酸,人工酸性下水に浸漬する実験を行った。浸漬期間,硫酸濃度,気温も合わせて,反応層形成に寄与するかを調べ,碍子,高炉スラグ,気温,浸漬期間,硫酸濃度が影響因子であることを確認した。また,碍子は反応層の膨張を抑制することを明らかにし,セメントペーストを酸性環境で使用しても耐久性を向上させる可能性を示した。