抄録
家庭系ごみと事業系ごみを原料として4年間の運転を継続した乾式メタン発酵試験施設において,物質収支,エネルギー収支を分析した。処理対象バイオマス系廃棄物は,家庭および事業所で分別排出した生ごみ,紙ごみおよび剪定枝である。家庭系ごみはバイオガス回収ごみとして収集されたが,生ごみ,紙ごみの平均分別率はそれぞれ 78.6 %,45.6 % で,分別に対する世帯参加率は 65.3 % であると推定された。週単位のデータを分析したところ,有機物質 (VS) 基準のメタンガス発生量は,生ごみ割合が高いほどが大きく,VS基準の分解率は生ごみのほうが紙ごみより高いことがわかった。またメタン発酵槽周りの熱損失を,加熱用蒸気による投入と引抜汚泥,ガスによる持ち出しの差から推定した。夏季はほとんど熱損失がなく,冬季に増加し,運転開始から2年間の平均では,熱損失は投入熱量の4割程度であった。