廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
乾式メタン発酵施設の長期運転における物質収支および熱収支に関する研究
西嶋 真幸松藤 敏彦
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2016 年 27 巻 p. 144-153

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抄録
家庭系ごみと事業系ごみを原料として4年間の運転を継続した乾式メタン発酵試験施設において,物質収支,エネルギー収支を分析した。処理対象バイオマス系廃棄物は,家庭および事業所で分別排出した生ごみ,紙ごみおよび剪定枝である。家庭系ごみはバイオガス回収ごみとして収集されたが,生ごみ,紙ごみの平均分別率はそれぞれ 78.6 %,45.6 % で,分別に対する世帯参加率は 65.3 % であると推定された。週単位のデータを分析したところ,有機物質 (VS) 基準のメタンガス発生量は,生ごみ割合が高いほどが大きく,VS基準の分解率は生ごみのほうが紙ごみより高いことがわかった。またメタン発酵槽周りの熱損失を,加熱用蒸気による投入と引抜汚泥,ガスによる持ち出しの差から推定した。夏季はほとんど熱損失がなく,冬季に増加し,運転開始から2年間の平均では,熱損失は投入熱量の4割程度であった。
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© 2016 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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