廃棄物資源循環学会論文誌
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研究ノート
ホタテガイ廃棄物の酵素剤処理による食用資源の生成
小原 寿幸高橋 桃子
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2016 年 27 巻 p. 196-201

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抄録
本研究では,現在水産廃棄物として扱われているホタテガイの外套膜から,酵素剤処理の手法を用いて,アミノ酸に富んだ食用資源を生成することを最終的な目的とする。タンパク質量の分析から,本研究で原料とする外套膜はタンパク質性の資源として十分利用可能と考えられた。また,有害重金属の分析結果から,外套膜には有害重金属はほとんど含まれておらず,安全性に問題ないことが確認できた。ホタテガイ外套膜をタンパク質分解酵素剤 (プロテアーゼ+ペプチダーゼ) を用いて加水分解した結果,水に対する外套膜の可溶化率が著しく向上した。高速液体クロマトグラフィーを用いて可溶化液を分析した結果,遊離アミノ酸量は4倍に向上した。すなわち,本可溶化エキスはアミノ酸に富んだ食用資源として有望であることが示された。有害微生物ならびに有害重金属を測定した結果,本エキスは安全性に問題ないことが確認できた。
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© 2016 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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