抄録
木質バイオマス発電の導入が進む昨今,発電に伴って発生する木質バイオマス燃焼灰の量を把握することは廃棄物の適正処理と資源の有効利用の観点で重要である。本研究では固定価格買取制度 (FIT) の認定を受けた木質バイオマス発電施設 191 施設を対象に,6 種類の木質バイオマス燃料の文献調査を通じて得た燃料性状を用いて木質バイオマス燃焼灰の発生量を推計した。2023 年度,対象 191 施設では合計 3,500 万 MWh の電力を生産するために 2,600 万~ 3,000 万 ton の木質バイオマスが燃焼され,17 万~ 81 万 ton の木質バイオマス燃焼灰が発生すると推計された。このうち 63 %はパーム椰子殻 (PKS) 燃焼灰が占めると予想された。推計上限値は,都市ごみ焼却残渣の約 20 %に相当し,有効利用や適正処理法の早期の確立が望まれるとともに,燃料や灰の性状を含めた全国的な実態調査が急務である。