本研究では廃棄物埋立層からの浸出水濃度を予測するための数理モデル構築とそのモデル検証を行なった。特に予測が難しいと考えられる高濃度の化学物質を含有する特別管理産業廃棄物を対象に検討した。数理モデルは,シリアルバッチ溶出試験の結果を溶出モデルとして加えた移流分散方程式である。本法の課題の一つは,シリアルバッチ溶出試験が液固比 10 での評価であるのに対して,予測対象となる埋立層ではより低い液固比での溶出挙動であり,それをどのように数理モデルに反映させるのかである。本研究では,実用面に優れたモデル構築と高精度化を図るため,液固比を変えたバッチ溶出試験を行い,低液固比での実測値と予測値の差異を調べることで溶出モデルに与える補正係数を導出した。補正係数を用いた数理モデルの有効性を明らかにするためにカラム溶出試験を実施したところ,アルカリ金属とアルカリ土類金属には高精度な予測を与えることがわかった。