日本数学教育学会誌
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実践研究
第4学年「簡単な場合についての割合」の導入指導の一考察
−倍で表す方法の理解とよさの感得を目指して−
加固 希支男
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2021 年 103 巻 6 号 p. 3-12

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抄録

本研究の目的は,基準量と比較量の関係どうしを比べる前に,基準量と比較量の関係を倍で表す方法

の理解とよさの感得を目指して,包帯の伸び方の均質性を考える場面を取り入れた授業を構成し,その

授業の教育的価値を考察することである.発話記録と児童のノート記述に基づいて授業の分析を行った

結果,次のような児童の実態が見られた.①実物の包帯を伸ばすことが,包帯の伸び方の特性を捉えや

すくし,均質性を根拠にした説明につながった.②児童は倍で表す方法のよさとして,伸びる前の長さ

に関係なく,包帯の伸び方を表現できることを見いだしていた.③均質性を根拠によさを説明する児童

の数は多くはなかったが,異なる場面で均質性について話し合う中で,児童の説明は明瞭になっていっ

た.これらの結果から,包帯の伸び方の均質性を考える場面を割合の導入指導に取り入れることが,倍

で表す方法のよさを考えたり,よさに気付いたりする機会を作り出し,基準量と比較量の関係どうしを

比べることの理解につながると考える.

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