2022 年 104 巻 1 号 p. 13-22
本研究では,中学校第1学年の図形指導の改善を意図し,一連の問題群の解決を通して基本の作図方法を見いだし,その方法でよいことを,既習事項を根拠として説明するような作図の学習指導を構想し,それを実践を踏まえて検討した.その結果,作成した問題群の解決に取り組むことにより進める作図の学習指導は,既習事項から作図方法を見いだすような活動を実現できる可能性があること,小・中の図形指導の関連付けや中学校第2学年から本格的に始まる図形の論証指導の橋渡しの役割を果たすことが期待できること,基本の作図をバラバラのものとしてみるのではなく,ひし形の対角線の作図や底辺が共通な二等辺三角形の作図と関連付けて統合的に捉えさせることができる可能性があることが示唆された.