日本数学教育学会誌
Online ISSN : 2434-8619
Print ISSN : 0021-471X
論説
学校数学における課題設計原理の開発に関する研究の枠組み
小松 孝太郎
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2023 年 105 巻 1 号 p. 2-13

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抄録

 本稿では,教材開発の中でも課題設計(task design)に焦点を当てて,課題設計原理の開発に関する研究の枠組みを構築し,その枠組みの諸側面を例証することを目的とした.そのための方法論としてデザイン研究を援用して議論を進めた.まず,課題設計原理が満たすべき性質として内容・活動固有性と理論性および実証性を挙げた上で,課題設計原理の意味を規定した.そして,課題設計原理を開発することの意義として,より多くの課題設計とより柔軟な課題の実践が可能になることを指摘した.次に,デザイン研究に関する既存の枠組みに,課題設計原理の開発という本研究の焦点を加味して,課題設計原理の開発に関する研究の枠組みを構築した.さらに,この枠組みの中でも,研究と課題設計原理の開発および実践の分析との関係に焦点を当て,既存の研究から例証を行った.最後に,本研究の意義として,本稿で構築した枠組みには,教材開発に関する研究の一つの方法論となる役割と,教材開発に関する研究の営みを相対化させる役割があることを指摘した.

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