抄録
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease、以下IBDとする)と共に生きる女性が子どもを産む体験について明らかにすることを目的として、IBDの診断後に出産を経験した女性12名を対象に半構造化面接を実施した。質的帰納的に分析を行った結果、【妊娠に至るまでの絶望と期待と努力】、【妊娠と療養を両立する過程における不安と希望】、【妊娠前後に他者と関わる中で抱いた期待と諦めと理解】、【妊娠維持と療養管理のための調整】、【生まれてくる子どもに対する心配と覚悟】、【今後の育児に対する葛藤と受容】の6カテゴリーが認められた。IBD女性のマタニティケアに関する知識を体系化し普及すること、IBD女性のケアに関わる多職種が連携し、継続したケアを実践することは、IBD女性が安心して子どもを産むことに貢献する。