日本母性看護学会誌
Online ISSN : 2434-6187
Print ISSN : 1345-773X
最新号
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原著
  • ─ 一緒に参加をした妻への効果─
    森田 亜希子, 森 恵美
    2024 年 24 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/16
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、夫婦を対象とした親役割適応を促す出産前看護介入プログラムを実施し、夫婦が一緒に参加した妻への本看護介入効果を明らかにすることである。縦断的準実験研究で、標準的な看護を受けた対照群と、標準的な看護に加え本看護介入を受けた介入群を比較し、考案した看護介入の効果を検討した。介入効果はエジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)、夫婦関係満足度(QMI)、育児ストレス(PSI-SF)を用いて介入前後で群間比較した。最終的に介入群9名、対照群31名のデータを比較し、EPDS得点、QMI得点、PSI-SF得点のいずれも期待した効果は認められなかったが、妊娠期から産後にかけて、介入群では抑うつ症状を訴えた人数は減少した。今後は、出産後の親役割獲得支援も検討し、妊娠期の看護介入効果と合わせて、臨床応用に向けた修正版看護介入プログラムを検討する必要がある。

  • 河合 桂子
    2024 年 24 巻 2 号 p. 9-16
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/16
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、初産婦を対象に食事量、食事の質、食事環境に関する食行動の実践を目指したプログラムを作成し、プログラム効果を検証することである。【知識の提供】、【妊産婦の自己評価】、【助産師のフィードバック】で構成するプログラムを作成し、介入群と対照群に分け、妊娠24週、妊娠28週、妊娠32週、産褥1か月、産褥6か月に、食事バランスは2群比較、食事環境は介入群内で前後比較し、食行動を評価した。その結果、介入群は、産褥6か月に副菜、産褥1か月に果物が推奨量に近づき、緑黄色野菜の摂取回数が増加し、主菜得点、朝食・昼食得点が高くなった。また産褥6か月までに、食事中のスマホ利用者は11.1%、テレビ視聴者は48.1%に減少した。結論として、本プログラムは食事の質を促進するが、食事量および食事環境の改善は不十分であるため、対象者に家族を含め、【知識の提供】および【妊産婦の自己評価】を再検討する必要がある。

  • ─育児ストレスと月経状態の影響─
    野井 恵加, 坂梨 薫, 勝川 由美
    2024 年 24 巻 2 号 p. 17-23
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/16
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、就学前の子どもを育てる35歳以上の母親の心身の不調に影響する要因を明らかにし、健康支援の示唆を得ることである。
    女性の30代後半は卵巣機能が低下し始める性成熟期後期にあたり、乳幼児の育児時期が重なることで、育児ストレスが心身の不調を強くする可能性がある。
    関東A県の保育園・こども園で就学前の子どもを育てる母親を対象に無記名自記式質問紙調査を行い、35歳以上の343名を分析した。背景要因、育児ストレス、月経状態を説明変数とし、慶應式中高年健康維持外来調査票を用いて心身の不調を測定し従属変数として重回帰分析を行った。
    結果、心身の不調には年収、睡眠時間、休日の息抜き時間の有無、育児ストレス、月経状態が関連し、中でも育児ストレスの「育児不安因子」の影響は、月経状態が与える影響よりも強かった。
    睡眠や休息の充足、育児ストレスを軽減する支援により、性成熟期後期以降に育児を行う母親の、心身の不調を軽減できる可能性が示唆された。

  • 岩﨑 順子
    2024 年 24 巻 2 号 p. 25-31
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/16
    ジャーナル フリー

    本研究では、低出生体重児を抱える家族のFamily Confidenceを育む看護介入を明らかにすることを目的とした。臨床経験5年以上で低出生体重児を抱える家族への看護に携わっている看護師、助産師、保健師10名にインタビューを実施し、質的帰納的に分析を行った。結果、低出生体重児を抱える家族のFamily Confidenceを育む看護介入は、【母親を中心にエンパワメントしていく】【親が低出生体重児の育児のコアとなるように支援していく】【家族にとっての支援のタイミングを見逃さずに捉え、合わせていく】【低出生体重児出生後の時間軸に沿って家族の力の発揮を支援していく】を含む6カテゴリー、「母親・低出生体重児」–「親」–「家族システム全体」を対象とする看護介入の3コアカテゴリーから構成されており、家族のシステムの階層性の視点からFamily Confidenceを育んでいく看護の重要性が示唆された。

研究報告
  • 超音波画像診断法による用手搾乳法との比較から
    西影 麻美, 立岡 弓子
    2024 年 24 巻 2 号 p. 33-39
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/16
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、わが国で助産師が産婆と呼ばれていた時代から伝承的に行われてきた断乳時に実施している “おにぎり搾り”の有効性を、超音波画像診断法を用いて乳腺画像の退縮所見から検証することである。断乳を意思決定した母親9名について、おにぎり搾り群5名、用手搾乳法群4名に割付を行った。対象者の同一場所の乳腺腔の厚みと導管径を断乳前日から断乳後30日間まで縦断的に観察した。
    断乳前日から断乳後30日間で、乳腺腔の厚みと導管径の退縮画像が確認された。断乳前日からの乳腺腔の厚みでは、おにぎり搾り群が用手搾乳法群と比較し、左乳房で3ポイント(断乳3日目、7日目、30日目)間の統計学的有意差を認めた。導管径は徐々に縮小し、断乳30日目で消失所見が9名の対象者で描出された。
    乳腺の退縮と導管の消失画像の確認により、乳頭刺激を行わない“おにぎり搾り”は、催乳ホルモン分泌抑制による乳汁産生抑制効果と、乳体部外側から圧をかける手技であることから、乳汁うっ滞の回避という有効性が示された。

  • 本末 舞
    2024 年 24 巻 2 号 p. 41-47
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/16
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、先天性心疾患(Congenital Heart Disease:CHD)合併妊婦が抱く母親像への思いを明らかにすることである。20歳以上のCHD合併妊婦11名に半構成的面接を実施し、質的帰納的分析を行った。その結果、【心疾患の存在を意識しながら自分らしい母親のあり方を検討する】、【心疾患があっても母親だけが守れる子どもの安全面は妥協したくない】、【自分に心疾患があるからこそどんな子どもでも受け入れる自信と覚悟がある】、【心疾患のある自分が母親になることが想像できなくても挑み続ける】を含む11のカテゴリーに集約された。CHDを有しながら母親になることはCHD合併妊婦にとって人生・生命をかけた挑戦であり、そのために周囲の協力を得ながら情報を活用し安全に妊娠・出産・育児期を向かえられるよう状況を受容したり妥協したりするなどの選択を行う中で成長し、自分らしく生きることであると考えられた。

  • ─月経教育における課題の検討─
    八巻 ちひろ, 常盤 洋子, 西川 美樹
    2024 年 24 巻 2 号 p. 49-55
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/16
    ジャーナル フリー

    月経や月経随伴症状についての実態、月経随伴症状に対するセルフケアの実態、月経教育の実態を明らかにし、セルフケア能力を高めることを目指した月経教育の課題の示唆を得ることを目的に月経随伴症状に対するセルフケアと月経教育に関する論文を調査対象とし文献検討を行った。キーワードを「月経随伴症状」「セルフケア」「教育」と設定し23件を対象文献とした。月経や月経随伴症状についての実態は〈月経の正常・異常〉〈月経に対する気持ち〉〈PMS・月経困難症についての認知度〉〈月経痛の程度〉〈月経痛・PMS症状の頻度〉〈月経痛・PMSによる日常生活への影響〉、セルフケアの実態は〈セルフケアの内容・関連因子〉〈周囲からのサポート〉、月経教育の実態は〈教育内容〉〈教育ニーズ〉〈教育の効果検証〉に関する内容でまとめられた。月経教育の課題において、教育者として看護職の活用や教育方法の検討、継続教育の必要性などが示唆された。

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