本研究の目的は、糖質と牛乳の混合物摂取がインスリン分泌さらには運動後のグリコーゲン回復に及ぼす影響について検討することであった。実験1では、安静状態のC57BL/6Jマウスに対し、糖質(グルコース2mg/g BW、CHO群)、牛乳(40 µl/g BW、Milk群)もしくは糖質・牛乳混合物(CHO-Milk群)を経口投与し、血漿インスリン、グルコースおよび消化管ホルモンGlucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)の濃度変化を検討した。その結果、他の2群に比べてCHO-Milk群で血漿インスリン濃度が有意に高い値を示し、一方、血漿グルコース濃度はCHO群に比べて有意に低い値を示した。また、インスリン分泌促進効果をもつGIPの濃度は、CHO-Milk群で顕著に高い値を示し、さらに血漿GIP濃度とインスリン濃度との間には正の相関関係が認められた。実験2では、30分間の一過性の走行運動を行ったマウスに対し、実験1と同様の糖質もしくは糖質・牛乳混合物を投与し、グリコーゲン回復への影響を検討した。投与60分後における前脛骨筋および肝臓のグリコーゲン濃度は、CHO群に比べてCHO-Milk群で有意に高い値を示した。以上の結果から、糖質と牛乳の混合物の摂取は、消化管ホルモンGIPを介してインスリン分泌を促進し、運動後のグリコーゲンの回復を早める可能性が示唆された。