2020 年 13 巻 1 号 p. 138-146
適切な栄養摂取はコンディションの維持において重要であるが、海外では日本と食環境が大きく異なる場合があるため事前の情報収集が必要である。国立スポーツ科学センター栄養グループでは、国際総合競技大会に出場する選手やスタッフへの情報提供として、開催地の食環境を調査し、調査内容をまとめた食環境ガイドブックを作成し競技団体に配布した。
調査前には、競技団体スタッフを対象にアンケート調査を実施し、必要な情報を検討した。また、競技団体の渡航および現地でのスケジュールなどの情報をもとに掲載内容を決定した。現地で手に入る食品、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの情報に加え、選手村ダイニングでの食事のとり方なども掲載した。現地までの移動時間が長い、現地滞在が長期間となる大会では移動中の食事に関する注意点や日本から持参する食品の情報などを掲載する、感染症の流行が予想される冬季大会では感染症対策を記載するなど開催地や開催時期も考慮した。これらの視点はスポーツ栄養士が海外で栄養サポートを行う際に活用できる可能性がある。
一方、近年の国際総合競技大会では、選手に対するサポートとして、現地で食事・補食の提供が行われるなど、大会期間中の選手の食環境は変化している。そのため、選手に対し食環境情報を提供する必要性は低くなっていることが予想される。今後は、現場のニーズに応じた栄養サポートや情報提供が必要である。