2021 年 14 巻 1 号 p. 130-139
食品の栄養成分は調理により変化することが知られている。日本食品標準成分表(以下、標準成分表)には、生の食品から調理後の栄養成分値(以下、調理後栄養成分値)の算出ができるよう、調理後食品の成分値や食品区分ごとの成分変化率が収載されている。
ハイパフォーマンススポーツセンターのレストランでの摂取量を評価する栄養評価システムの栄養成分値は、これまで多くの給食施設と同様に生の食品を用いていた。しかし、トップアスリートの栄養評価や栄養素摂取量等に関する調査・研究では、調理後栄養成分値を用いることが適切であると考え、2019年6月より調理後栄養成分値を導入した。
調理後栄養成分値の算出には標準成分表の収載食品または最も類似した食品を使用し、調理後栄養成分値が未収載の場合は「生」の成分値と成分変化率から推計した。市販調理加工品は商品に記載されている栄養成分値を用い、調理による成分変化を考慮すべき商品は成分変化率も用いて調理後栄養成分値を推計した。市販調理加工品で未記載の栄養素がある場合は、標準成分表の食品を用いて補填するか、原材料と配合割合から推定する方法を用いた。
標準成分表に収載された調理後の食品は一般調理を想定したもので、大量調理による成分・重量変化では値が異なる可能性はあるが、調理後栄養成分値の導入は実際に摂取された栄養成分値に近い値を示すことができ選手のコンディション調整に貢献すると考える。