2021 年 14 巻 1 号 p. 41-49
【目的】
スポーツ現場における継続的な食事サポートのために、簡便に食事の実態を調査できる手法が求められている。本研究では、男性スポーツ選手を対象に実施した簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による栄養素等摂取量推定値の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は、体育系大学運動部に所属している男性スポーツ選手28名とした。競技種目は、陸上競技(投擲・混成)、ハンドボール、バスケットボールであった。早朝空腹時に身長、体重、体脂肪率を測定し、BDHQの回答を依頼した。食事記録法(DR)は、BDHQの回答から3週間以内の連続3日間(トレーニング日2日+休養日1日)を調査日とし、写真と記録紙による食事記録の提出を求めた。
【結果】
DRとBDHQによる食事調査の比較から、BDHQによるエネルギー摂取量の推定値は、DRより中央値で17.4%低い値を示し(p < 0.001)、両方法によって推定されたエネルギー摂取量には相関関係は認められなかった。また、エネルギー摂取量および炭水化物摂取量が多い選手ほど、BDHQによって推定されたエネルギー摂取量は低値を示した。
【結論】
男性スポーツ選手を対象にBDHQとDRによる食事調査の比較から、エネルギー摂取量はBDHQで低く推定されることが明らかとなった。さらに、エネルギー摂取量および炭水化物摂取量が多い選手ほど、その傾向が強くなることが示唆された。