日本スポーツ栄養研究誌
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ICRマウスとSDラットにおける安静および運動期間中の嗜好性の比較:同一の飼料および運動プロトコルを用いた比較
小池 温子成田 直央寺田 新
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2021 年 14 巻 1 号 p. 69-77

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抄録

【目的】

 スポーツ栄養学の基礎研究で広く用いられるマウスおよびラットでは、運動時において高脂肪食に対する嗜好性が異なるという可能性が示唆されている。しかしながら、このような嗜好性の違いを食餌組成および運動内容を統一させた条件下で直接比較した研究はこれまで行われていない。本研究では、マウスとラットに同一プロトコル(食餌組成および運動内容)を用いて介入を行い、安静および運動期間における高脂肪食に対する嗜好性を比較検討することを目的とした。

【方法】

 7週齢の雄性ICR系マウスおよびSD系ラットに対し、全く同じ組成の通常食と高脂肪食を同時に与えながら15日間飼育した。6〜10日目には、両者に対し同一プロトコルの水泳運動を行わせた。飼育期間中は通常食と高脂肪食それぞれの摂餌量を毎日測定した。

【結果】

 いずれの期間においても、マウスは通常食と比較して高脂肪食をより多く摂取した。また総エネルギー摂取量は、安静期間と比較して運動期間で有意に低下した。一方、ラットはいずれの期間においても高脂肪食と比較して通常食をより多く摂取し、さらに、総エネルギー摂取量も期間の違いによる差は認められなかった。

【結論】

 同じ齧歯類の実験動物であるマウスとラットに対し、全く同じ組成の通常食と高脂肪食を同時に与えながら同一プロトコルの水泳運動を行わせても、その嗜好性や運動による影響の受け方には大きな違いがある可能性が示唆された。

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