日本気管食道科学会会報
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総説
早期気道癌,早期肺癌について
河合 俊明
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2006 年 57 巻 5 号 p. 407-412

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抄録
上部気道消化管の腫瘍はほとんどが扁平上皮癌であり,非角化病変では子宮頸部と同様に異形成,上皮内癌の定義が使用されるが,角化病変では独自のcriteriaを導入して,診断することが必要である。一方肺のpreinvasive lesions前浸潤性病変として2004年のWHO分類は,(1)扁平上皮異形成,上皮内癌,(2)異型腺腫様過形成 (AAH),(3)びまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成の3病変が記載されている。(1)異形成は軽度,中等度,高度と進み,上皮内癌になる。さらに基底膜を破壊し,微小浸潤癌から浸潤性扁平上皮癌へ,(2)AAHは細気管支肺胞上皮癌に,さらには浸潤性腺癌に進行するといわれている。しかし (3)はtumourletやカルチノイドとの関連は言及されているが,同じ細胞起源である小細胞癌および大細胞性神経内分泌癌との関連は不明である。これらのpreinvasive lesionsからinvasive lesionsに進行するにはさまざまな遺伝子異常の蓄積が必要である。これらの病変を形態学的に正しく認識して,さらに分子生物学的手段により確証することで,早期発見に寄与し,的確な治療につなげることが重要である。
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© 2006 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
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