抄録
術前の患者34名を対象に、心理テスト(CMI、MAS、Y-Gテスト)を行い、さらに術前の不安を緩和するために、Jacobson-Wolpeの筋弛緩訓練を指導した。その効果はSTAI-I・IIを用いて評価し、心理テストとの関連をみた。以下のような成績を得た。
1. 筋弛緩訓練を実施することにより、術前患者の状態不安(STAI-I)、特性不安(STAI-II)ともに有意に減少し、術前不安の軽減方法の1つとして極めて有用であることが示された。
2. 特にCMIの成績からは正常と判定されるものにも、神経症的と判定されるものにも優れた効果がみられた。
3. MASの成績からは、不安の高い患者により有効であることが明らかにされた。
4. Y-Gテストの成績からは、情緒的安定・社会的適応型に特に有用であることが明らかにされた。