日本看護研究学会雑誌
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最新号
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  • 塩入 久仁子, 山口 大輔, 松永 保子
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_51-1_60
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/02/16
    ジャーナル フリー

    目的:臨床現場における看護師の自己教育力と他者から受けている支援との関連について検討した。方法:看護師255名の基本的属性と,自己教育力測定尺度,他者支援尺度を用い,ロジスティック回帰分析を行った。結果:看護師長・副看護師長からの内省支援(OR=1.28)が「成長・発展への志向」に,看護師長・副看護師長からの精神支援(OR=1.11)と先輩からの精神支援(OR=0.91)が「自己の対象化と統制」に,年代(OR=0.61),クリニカルラダー(OR=1.97),看護師長・副看護師長からの精神支援(OR=1.11)が「学習の技能と基盤」に,同期からの内省支援(OR=0.83)が「自信・プライド・安定性」に関連していた。結論:看護師の自己教育力の向上には,看護師長・副看護師長からの自己の看護実践に対する内省支援,成長を確信できるような精神支援,職場の互酬性を高めることが重要であると考えられた。

  • 林 真紀子, 山田 忍
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_61-1_72
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー

    目的:がんゲノム医療を受ける患者は標準治療がない,もしくは終了した状態にあり,死を意識する病を抱える状況にある。そのような患者の看護と,死を意識する病を抱える患者の看護に必要とされる「看護師の死生観」との関連を明らかにすることを目的とした。方法:がん看護に携わる看護師91人から質問紙調査を行い,「がんゲノム医療を受ける患者の看護」の探索的因子分析を行ったうえでこれらを従属変数,「看護師の死生観」を独立変数とした重回帰分析を行った。結果:「がんゲノム医療を受ける患者の看護」として5因子38項目が抽出され,これらに「看護師の死生観」が影響していることが明らかとなった。結論:「がんゲノム医療を受ける患者の看護」には死を意識する病を抱える患者を対象とした要素があり,「看護師の死生観」がこれらに影響し,看護師が死生観を確立することの必要性が示唆された。

  • 森 つばさ
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_73-1_84
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/02/16
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,人々の生活や価値観が多様化する現代の日本における「ソーシャルスキル」の概念構造への理解を深め,看護実践の質向上への示唆を得ることである。方法:Rodgers & Knaflの概念分析の方法を用い,複数の学問領域やメディアよりソーシャルスキルの先行要件,属性と帰結を抽出し類似性に基づいて分析を行った。結果:57の文献より「ソーシャルスキル」の先行要件となる【動機】など4つのカテゴリ,属性として【人間関係を円滑に運ぶスキル】など6カテゴリ,【円滑な人間関係の構築】といった帰結の5カテゴリが抽出された。結論:遠隔診療の普及など社会のニーズも多様化し,多様なニーズに合ったソーシャルスキルを身につけることが日本の看護職にとって重要となった。そうした背景を踏まえた,体系的なソーシャルスキル学習の方策を検討することが今後の課題となる。

  • 河本 乃里, 田中 マキ子
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_85-1_95
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー

    目的:卒後2〜3年目に退職した看護師の就職から退職を決断するまでのプロセスを明らかにし,就業継続を阻害した要因を検討する。方法:卒後2〜3年目に退職した看護師9名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。結果:退職した看護師は,職場の仕事や人間関係に悩み【辞めたい気持ちの慢性化】を起こしながらも,できる仕事を増やす【看護師としての基盤づくり】を行い,2〜3年を区切りに【最初の職場を去る決断】をしていた。結論:先輩看護師との従属関係や克服できない苦手な先輩看護師の存在,先輩看護師が実践する看護に好意的な感情を持てなかったことが就業継続を阻害した要因であった。成長の自覚や労働時間への不満,求める職場環境との乖離が退職の決断に影響していた。上司である師長が退職した看護師の仕事や人間関係の悩みに気づき対応したり先輩看護師との関係構築を支援したりする必要があった。

  • 山根 友絵, 百瀬 由美子
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_97-1_106
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/04/12
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は,近距離から通って介護を行う別居介護者に焦点を当て,訪問看護師が実施している別居介護者支援の特徴を明らかにすることを目的とした。方法:訪問看護師13名に近距離から通って介護する別居介護者への支援について半構造的面接を行い,エスノグラフィーの手法を参考に分析した。結果:訪問看護師が行う別居介護者支援として【限られた接点での初期からの関係作り】,【情報共有による関係職種での食い違いのない対応】,【離れている間の安心をもたらす緊急時対応】,【今後に向けた意思決定の促し】,【別居介護者自身の対応力を高める助言】,【介護意欲を下げないための関わり】,【情報のギャップを埋める連絡】,【多重役割を持つ別居介護者の生活を優先した対応】の8カテゴリが抽出された。結論:介護者が別居であるがゆえに重要性が高い支援や特徴的な支援が明らかになったため,特徴を生かした支援の実施が求められる。

  • 森 つばさ
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_107-1_117
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー

    目的:日本が外国人看護師を受け入れる中,漢字を理解する中国人看護師の活躍が期待される。しかし,彼らには対人行動など日中の文化差に起因する困難がある。本研究の目的は,日本人の対人行動の特徴を踏まえた彼らのソーシャルスキルと職場への適応との関連性を明らかにし,必要な支援への考察を行うことである。方法:39人の在日中国人看護師より得られた質問紙調査の結果を,【ソーシャルスキル】尺度の平均値で【異文化適応の構成因子】尺度の総得点および下位尺度の得点を二分し,比較した。結果:在日中国人看護師の日本の職場への適応には,相手の言動から意図を察し,相手の状況や場面に合わせた行動をとる日本人に特徴的なソーシャルスキルとの関連が見られた。結論:今後彼らを支援するにあたって,日本文化を踏まえたソーシャルスキルトレーニングが効果的である可能性が示唆された。

  • 山本 裕子, 岩脇 陽子, 室田 昌子, 木下 涼子
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_119-1_129
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/02/16
    ジャーナル フリー

    目的:中年期以降の慢性心不全患者のセルフマネジメントにおける困難を明らかにする。方法:入院中の患者を対象に,半構造化面接で得られたデータを質的帰納的に分析した。結果:対象者は男性9名,女性8名の計17名であった。中高年期の慢性心不全患者のセルフマネジメントにおける困難は,【心不全について判断ができない】【自己管理の効果を実感できない】【自己管理を生活に織り込めない】【自分なりに心不全に向き合っている】【辛い思いのまま生活に喜びや楽しみがない】【仕事の調整ができない】【社会的リソースが活用できない】【心不全の自分に価値が持てない】【心機能の低下により失ったものが多い】の9つのカテゴリが抽出された。結論:中年期以降の慢性心不全患者のセルフマネジメントの困難には,身体的,精神的,社会的,スピリチュアルな側面に対応する支援が必要であることが示唆された。

  • 矢野 英樹, 齋藤 信也
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_131-1_142
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/04/12
    ジャーナル フリー

    目的:研究の目的は,国外における脳卒中患者の退院支援から,わが国における脳卒中患者の退院支援に,取り入れられるケアについて示唆を得ることである。方法:文献検索には PubMedを用い,検索語は「stroke or cerebrovascular accident or cva」「discharge planning」「readmission or rehospitalization」「nurse」とし,選択基準に基づき論文選択した。結果:脳卒中患者の退院支援に関する介入研究は,6件を採択し,多様な国と地域で行われ,脳卒中の再発予防に取り組んでいた。特有な介入内容は,脳卒中再発予防教育,社会資源調整,介護者評価であった。再入院率は減少したが,ほとんどの論文で統計的有意差はなかった。結論:地域で脳卒中患者を支えるためには,介護者評価を行いコミュニケーション手段を構築することが重要である。

  • 中本 五鈴, 岡 美智代, 若村 智子, 中平 みわ
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_143-1_148
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー

    目的:日本看護研究学会会員の国際活動の実態と国際活動推進委員会(以下,本委員会)に対する会員のニーズを明らかにすることを目的とした。方法:本研究は,2022年6〜7月,日本看護研究学会会員5,419名を対象にオンライン・アンケート調査を行い,本委員会に対するニーズや国際活動の実態を明らかにした。また,本委員会へのニーズはアカデミックライティング,海外の学会と交流締結,学会参加の経済的支援および英文誌投稿の経済的支援の4項目で調査した。結果:有効回答は211名であった(回収率3.9%)。アカデミックライティングのニーズが最も高かった(81.2%)。過去10年間に海外学会参加経験がない,または過去10年間に英語論文投稿経験がない人の国際活動の阻害要因は,英語への自信のなさが最も多かった。結論:アカデミックライティングの企画や,国際活動のための実践的セミナーの企画を実施していくことが望まれる。

  • 栗原 淳子, 中林 誠
    2024 年 47 巻 1 号 p. 1_149-1_156
    発行日: 2024/04/20
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/04/12
    ジャーナル フリー

    目的:精神障害者にとっての病の意味を明らかにする。方法:PubMed,CINAHL,CiNii,医学中央雑誌のWeb版を使用し,「精神障害者」「精神疾患」「患者」「病」「病気」「意味」「意味づけ」「病の意味」をキーワードとした。また,日本語と英語で書かれた原著論文,事例報告,症例での質的研究に限定した。著作権に配慮し,内容を時系列に沿って統合した。結果:選定された5文献を対象とした。精神障害者の病の意味は,【精神の病であることに気づく契機】【病に至った原因を追究する】【精神の病であることを受け入れられない体験】【精神障害者であることにより受ける苦難】【自分を理解してくれる他者と病の体験を共有し共に生きる】【病の受容と自分を再構築する】の6つに分けられた。結論:医療者は病を生物学的な構造や機能の変化と捉えがちであるが,精神障害者にとって病は主観的な経験であることを認識する必要がある。

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