目的:修士論文指導を受ける学生の視点を教授活動の評価に反映できる尺度を開発する。方法:研究指導に対する大学院生の評価基準を質的帰納的に解明し,その成果を基盤に尺度原案を作成した。在学生と課程修了後5年未満の者に質問紙392部を配布し,尺度の信頼性と妥当性を検討した。結果:有効回答303部を分析した。判別分析と項目分析の結果に基づき,目標達成度と学生の満足感に影響する項目を選択した。尺度の信頼性・妥当性:クロンバックα信頼性係数は .958であった。主成分分析の結果,尺度の構造が概ね1次元性であることを示した。尺度総得点と授業過程の質を数値化した得点間のSpearmanの順位相関係数は .689(p<.001)であった。結論:「研究指導過程評価スケール─看護系大学院修士課程用─」は信頼性および妥当性の構造的側面,外的側面など複数の側面の証拠を備えている。
目的:急性期病院において新卒看護師が4年目も就業を継続していくプロセスを明らかにする。方法:卒後4年目看護師10名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。結果:本プロセスは,〈看護師の基盤づくりの場所として就職〉した新卒看護師が【自己の能力と人間関係に悩む】,〈行きたくない綱渡りの出勤〉という困難な経験や心境に対し【感情を前向きにコントロール】して【できる仕事を増やしていく】,【先輩看護師への見方・関わり方の好転】をさせて,【チームの一員としての役割遂行】をする。この過程を経ることで〈辞めない思考への変化〉につながり,【将来を見据えた働き方の模索】をしながら4年目も就業を継続していた。結論:先輩看護師との関係性構築が重要な課題であり,新卒看護師が先輩看護師に対して好意的な感情を持ちながら,協働を通じて良好な関係性を構築できるように支援していく必要がある。
目的:血液透析患者の透析受容の概念の構成要素と定義を明らかにすることを目的として概念分析を行った。 方法:Walker & Avantの方法論を用いて,可能な限り多くの概念の背景や用途,類似概念を検討した。和文と英文の23文献から属性,先行要件,帰結を抽出した。結果:属性として,【透析生活における現実の理解】,【社会支援の受諾】,【自己に対する調整】,【今後の透析人生に向けての準備】,【透析治療に対する安定した心理状態】の5項目と,透析の体験などの先行要件5項目,行動レベルなどの帰結4項目が明らかとなった。結論:透析受容を,“透析生活における現実の理解や社会支援の受諾によって,自己に対する調整と今後の透析人生に向けての準備をともなう安定した心理状態”と定義した。概念の特徴から,看護師は患者に透析受容を強要するのではなく,患者が自分のペースで透析受容へ至るように支援することが重要と考える。