日本看護研究学会雑誌
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精神科実習における看護学生の意識構造の変化と不安との関係
-STAI ・ CAS との関係-
金山 正子川本 利恵子田中 マキ子内海 滉
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1995 年 18 巻 2 号 p. 2_7-2_16

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抄録
 本研究の目的は,精神科実習前後の看護学生の意識構造の変化と不安との関係を明らかにすることである。
 対象は,1991年度の山口大学医療技術短期大学部看護学科3年次学生76名である。質問紙およびSTAI,CASを用いて調査し,意識構造と不安傾向との相関関係を検討した。その結果,以下の結論を得た。
1. 看護学生の意識構造は,恐怖・嫌悪因子,理解・受諾因子,社会的訴外因子,否定的因子,肯定的因子,閉鎖的因子の6因子で構成され,実習後には恐怖・嫌悪の態度が和らぎ,肯定的な態度に変化する。
2. 看護学生の意識構造とSTAIおよびCASとに相関関係を認めた。
3. STAI状態不安の変化と「患者は近づきにくい」「気味が悪い」「人間関係が困難」「怖い」「何をするかわからない」等の項目の回答の変化に相関関係を認め,肯定的な態度が芽生えると状態不安が低く示される。
4. CASにおいては,自我が弱い傾向を示す学生は,実習後に,恐怖・嫌悪の態度,否定的な態度をとる傾向がある。また,疑い深い傾向のある看護学生は,実習後に患者を閉鎖的ととらえる態度をとる傾向がある。
6. 疑い深い傾向のある看護学生は,実習後に状態不安が高くなる傾向を示した。
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© 1995 一般社団法人 日本看護研究学会
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