1997 年 20 巻 5 号 p. 5_21-5_33
本調査では,107症例の摂食障害の患者に対して臨床の看護者が挙げた看護問題を構造的に分析することによって,看護者が何を看護問題と考え,どのような方向性で援助を行っていこうとしているかを検討した。
その結果,患者と接していく中で,看護者は多くの情報を追加・修正しながらアセスメントを進め,より広範で多岐にわたる問題を看護問題として認識していくことが明らかとなった。
しかし,看護者の挙げた看護問題の中には,患者の問題というよりは医療者側の治療や管理上の問題が多く含まれており,看護問題の位置づけや方向性に関していくつかの問題点が指摘された。
また,看護者の挙げた看護問題をみる限り,ボティ・イメージやセルフ・エスティームなどの「自己概念」に関するアセスメントが不足しており,医師との共同の在り方も含めて,要検討課題であると思われた。