2003 年 26 巻 4 号 p. 4_59-4_66
看護職の石鹸と流水による手洗いの有用な方法について,石鹸泡立て時間,流水すすぎ時間,手拭き乾燥方法を種々に設定し除菌効果より検討を加えた。 その結果,流水時間を15秒間とした場合,石鹸泡立て時間8秒間群と15秒間群で手洗いによる有意な細菌数の減少を認めたが,30秒間群では減少は認められなかった。 石鹸泡立て時間を15秒間とした場合,流水すすぎ時間は15秒間,30秒間,60秒間群共に手洗いによる細菌数の有意な減少を認め,60秒間群の除菌効果が最も高かった。 ペーパータオル使用枚数は2枚以上で除菌効果があり,特に3枚使用群が最も高く,1枚では除菌効果は認められなかった。 布タオルの連続使用ではタオルに付着した細菌数は漸次増加し,手洗いによる除菌効果を認めたのは1人目のみであった。
以上より石鹸と流水による手洗いでは石鹸泡立てを8~15秒間行い,泡とともに存在する細菌を時間をかけ十分に洗い流し,ペーパータオル2枚以上,出来れば3枚を使用し十分に手指を乾燥させることが重要である。 また,共用タオルは使用する毎に手洗いによる除菌効果が低下するので,その使用は厳に慎むべきである。