日本看護研究学会雑誌
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アトピー性皮膚炎患者へのスキンケア指導
-5つの要素の比較分析-
中野 雅子
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2003 年 26 巻 4 号 p. 4_109-4_121

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抄録

 アトピー性皮膚炎患者の皮膚の自己管理を支援する目的で,中等症から重症の男女の患者59名に対し,スキンケア指導を試みた。 さらに指導前と指導後の調査によって,指導の有効性と指導内容の5つの要素 『洗浄回数』 『洗浄時の力の入れ具合』 『石鹸の使用』 『綿タオルの使用』 『洗顔にかける時間』 と皮膚症状改善の関連について分析した。 (1)5つの要素全てが有意に日常生活動作に定着した (p<.001)。 (2)皮膚症状は83%が 「改善」,17%が 「非改善」 であった。 (3) 『力』 と 『時間』 は他の要素より日常生活動作への定着率が低いが,症状改善に有意に関連した。 (4)対象者の76%が指導を受容した。 以上から,スキンケア指導は,口頭での説明で伝わりにくい要素 『力』 『時間』 を伝えることができ,生活の場で再現しやすく患者の自己管理の意識を支えると考えられる。

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© 2003 一般社団法人 日本看護研究学会
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