日本看護研究学会雑誌
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長期断酒体験で築かれた断酒への意識
岡田 ゆみ
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2006 年 29 巻 2 号 p. 2_73-2_79

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抄録

  本研究は,断酒会に通う長期断酒中のアルコール依存症者が,どのように断酒への意識を築いているのかを明らかにすることを目的とした。対象は,5年以上断酒している6人とし,参加観察と面接調査を行い質的帰納的に分析した。
  分析の結果,長期断酒体験で築かれた断酒への意識には,10のサブカテゴリーを含む3つのカテゴリー『定めた決まりで酒を断つ』『断酒を絶えず誓う』『断酒によって生まれる新たな意識』が抽出された。3つのカテゴリーは,仲間や家族など周囲の存在が背景にある中で,それぞれが相互に影響し合いながら繰り返される意識であった。また,長期断酒者が『定めた決まりで酒を断つ』意識の中で,必ずしも飲酒の危機に結び付いていない不安定な感情にも,あらかめじ定めておいた行動を早くとりながら断酒生活を維持していた事については,看護職者がアルコール依存症者の断酒を理解し,必要な支援を検討する上で示唆を得たといえる。

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© 2006 一般社団法人 日本看護研究学会
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