日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
Print ISSN : 2188-3599
ISSN-L : 2188-3599
長時間夜勤が看護師の表情認知能力に及ぼす影響
前川 甘弥乗松 貞子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 43 巻 1 号 p. 1_87-1_98

詳細
抄録

長時間夜勤が看護師の表情認知能力に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,二交代に従事している健康な女性看護師28名を対象に,長時間夜勤の前後で表情認知能力を測定した。表情認知能力は,「表情識別能力プログラム」を用いて測定した6種類の基本感情「驚き」「恐怖」「嫌悪」「怒り」「悲しみ」「喜び」の表情識別閾を指し,あわせてストレス度(唾液アミラーゼ活性値),疲労度(「自覚症しらべ」)も測定した。
結果,夜勤前も後も表情識別が容易なほうから「喜び」「驚き」「怒り」「悲しみ」「嫌悪」「恐怖」で順番は同じあったが,夜勤後のほうが「怒り」と「嫌悪」の認識が有意に容易になっていた。これは長時間夜勤による睡眠不足状態が,表情を見たときの脳の扁桃体活動亢進につながり,情動反応が大きくなった結果によるものと考えられた。「喜び」は最も認識が容易な表情で,夜勤によるストレスや疲労の影響を受けないことが確認された。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本看護研究学会
前の記事 次の記事
feedback
Top